親の仕事を見て子供が育つ環境
もう一つ伝統の村の特徴は『保育所を作らず、子供は親のそばに置く』ということ。実際に見ていると、母親が赤ちゃんを膝の上に寝かせて機を織っている。小さい子供達が、仕事場近くを走り回っている姿もある。
森本さんの説明。『敢えて保育所は作らない。母親はどうしても子供のことが気になる。それならいっそ子供を傍に置いた方が集中できる。勿論時々子供を見なければいけないが、その時間を差し引いても効率が良い』
また『女の子は5歳ぐらいで母親の真似を始める。10歳ともなればある程度の作業が出来る。15歳で一通り出来る。20歳までには一人前になる。伝統の森では20年で後継者を一人育てる感覚を持つ。小さい時から織物に触れている、この感覚は後からは養えない』とも言う。
これもまた凄いことだ。特に女性の訪問者からはこの説明には歓声が上がるという。これは究極の子育てであり、同時に職業の伝達手段でもある。息の長い、伝統の継承、これは実にすばらしい。