自分の殻を破る
最初は村の中を漕いで行く。ボートの時より遥かに家々がまじかに見え、人々の表情も見える。洪水のときは大変だったと思うが、実に淡々とした生活を送っている。これが日常と言うものだ。
その内に湖上のジャングルに入り込む。これはなかなかスリリングであり、木々に覆われてヒンヤリした風が流れる。いくつものボートがこの中に入っており、すれ違う。我がボートの船頭少女、なかなかやる。かなり巧みな櫓を使う。小さい時から遊びながら学んだのだろう。
湖面にうねりがある。水が様々な変化する。やはり木があるということは変化をもたらすらしい。向こうからヨーロッパ人が乗ったボートがやって来た。何と船頭から櫓を受け取り自分で漕ごうとしている。これはかなり無茶だ。それでも声を掛けると「出来るさ、彼女にもできたんだから」と答えが返ってくる。
いま私たちは無理なことは極力しないことにしている。危険だから、そんなことを考えていれば、自分の殻は破れない。「出来るさ」と気軽にやってみることとこそ、次への進化ではないか。
蓮の葉が湖面に大量に浮かんでいる。そういえば、この葉を使ってロータスティが出来ないか、と言っていた人がいたが、確かに沢山ある。原料だけあっても出来るとは限らないが、チャレンジしてみるのもよい。
20分ほどのボートトリップは終わった。しかしこの間、結構考えることがあった。やはり伝統の村で過ごしてから、物を考えるようになった気がする。そして元来た道を戻り、サレンのトゥクで市内へ帰る。