海外から日本を見て考える
この素晴らしい自然の中にある農園のオーナー、Sさんは日本人。若い頃は日本で政治的な活動にも参加、その後色々なご縁があり、関東で花の栽培を開始。海外にも輸出する規模で花農園を経営していた。
そして還暦も近くなった頃、日本の農園を部下に譲り、タイに移り住む。ランプーンにやって来て、ここで農園を始めた。それから10年以上経つ。今では様々な草花が花開き、タイ国内は勿論、日本をはじめ海外にも輸出されている。そして単にビジネスと言うだけではなく、色々は新しい試みをこの地で行っている。Sさんのこれまでに培った花栽培の技術、輸出などの商売のノウハウ、そして何よりも気持ちが込められた農園である。
広大な敷地の中には外から来た人々が宿泊できるコテージなどがいくつもある。一度に30人は宿泊できるという。何故このような施設を作ったのか。『初めて自分と同世代の日本人のロングステイを考えた』のだと。
当然興味を持って見学に来る日本人は沢山いたが、いざロングステイという段になると、考え方の違いが露骨に出た。『XX万円支払うとこの土地の権利は自分の物になるのか』など、予想外の反応があった。理想的な環境で穏やかな余生を送る、と言いながら、結局はお金から離れられない人々を見た。
『面倒だから止めたんだ』という。何だか残念な話だが、それが今の日本の現実。代わりに『日本の若者に海外での農業体験をして欲しい』と現在は日本の農業関係の大学生、インターンなどを受け入れているという。『若い人なら大歓迎。海外での就業経験も役に立つはず』と前向きだ。
海外に居ると日本の現状が良く見える。日本国内でガッカリして生きているより、タイに来て、将来を考えてみるのもよい。若者に無理に海外に出ろとは言わないが、海外で考えてみるのは必要な機会だと思う。