(7)お茶博
メーサローンビラのオーナー李さんにも会いたいと思っていたが、とても忙しいそうでなかなか顔が見えない。どこへ行ったのかと聞くと、何と『メーサローンの茶会』が開催されていて、そこに出店しているという。これは行って見ねば、ということで、茶畑帰りに連れて行ってもらった。
村の外れの広場に確かにイベント会場があった。ただ茶会というよりお茶博覧会、いやお茶を名目にした村のお祭りといった雰囲気。少数民族のアカ族やリス族が民族衣装に身を包み、皆で歌を歌ったり踊ったり、といったパフォーマンスを披露している。こんな光景はインドのダージリンやミャンマーのシャン州でも見たような気がする、何か共通項があるのだろうか。農作物などを持ちより、地面に座って売っている人々もいる。朝一のようで、何だか好ましい。
40-50軒のお茶関係のお店が出店している。基本的にはメーサローンで採れる烏龍茶を中心に売っていると見ていたが、緑茶あり、プーアール茶ありと、ほぼ同じ大きさの小屋に個々に個性を出して店づくりをしている。
李さんの小屋も準備が進んでいた。店先に大きな円盤型のプーアール茶が飾られている。これは何かの記念に作られたそうだが、残念ながら字も読めず、分からなかった。それにしてもメーサローンにプーアール茶、ちょっと意外な気もするが、李さん達の先祖は雲南省出身者が多く、縁は続いているのかもしれない。
李さんはとても忙しいようだが、私も昼飯に誘う。自身は食事の時間もないほど働いている。直ぐ近くに麺屋に入り、麺を頼んでくれる。この地方としては意外なほど辛い、が美味い。食べながら話を聞く。
実は李さんはタイの茶葉協会?会長の要職にあるという。勿論タイの茶葉生産量はそれほど多いわけではないが、それでも徐々に増やして来ている。品質も向上してきており、自信も出て来ている。現在は台湾への輸出が中心であるが、今後はタイ国内の販売促進、そして中国本土への直接輸出を目指して、活動している。中国語が出来る利点を生かして、李さん自らアモイの茶葉博覧会に出向いて、講演するなど着実に動いている。
李さんは麺を素早く口に入れ、そして立ち上がり小屋に戻っていった。タイの茶産業はこれから発展していくような気がした。