(9)茶の試飲
メーサローンビラに戻る。途中にセブンイレブンがあるのは昔からだが、何となく街の雰囲気にそぐわない。更に歩いて行くとお茶屋さんが数軒ある。観光客用、と言った感じで、ちょっと敷居が高い。
1軒、普通の家がある。向かい側ではお婆さんやおばさんが世間話に興じていた。子供同士がけんかしていた。お婆さんはそれを止めることもなく、まるで『子供は喧嘩して大きくなるんだ』と言っているように笑いながら見つめている。片方の子が泣きだすと初めて母親が間に入る。何だか子育ての意味を見る。
その家の奥では男性が茶葉を選り分けていた。家族と親せきが飲む分だけ茶を作っているらしい。中国の大工場などと違い、こうやって小さな茶工場が片手間でやっている、こんな光景が望ましい。
ビラに戻ると食堂でお茶の試飲をした。烏龍茶は前日飲んだ通り品質が明らかに向上していたが、同時に紅茶が美味しかった。これも台湾の影響だというが、簡単に作れるのだろうか。
そしてここに宿泊する人、外からご飯を食べに来る人、特にタイ人がお茶を飲むようになったという話を聞いて、少し驚く。確かに外では結構涼しいのに、何故かテントを張ってキャンプなどをしている。これがいわゆる中産階級の勃興ということだろうか。健康志向、烏龍茶が血圧を下げる、などと聞き、香が良いことも手伝って、タイ人がお土産に買っていく。数年前には考えられない変化である。
これまでは台湾など輸出先の要請で茶を作ってきたが、これからはタイ人の好みに合うお茶を作ることになるだろうか。しかしタイ人は甘い物好き。甘みが無いと飲まれないだろうか、それとも薬として飲むだろうか。
色々なことを考えながらお茶を飲むのは楽しい。タイ産烏龍茶、紅茶の宣伝をしてみると面白そうだ。そのまま夕飯となり、ここの名物、豚足とマントウを頂く。相変わらず美味い。食堂内にはWifiが設置されており、ここでネットも繋がる。昔はそんなものはなかったな。