(4) 乗継で走る
私は今日中にウルムチからカシュガルに行かなければならない。余裕を持って1時間50分の乗り継ぎ時間を設けたつもりでいたが、その時間は既にシンセン空港の遅れで使い果たしていた。蘭州出発時に遅れは1時間となっていたが、乗り継ぎ時間は50分しかない。通常国内線であれば、50分は十分な時間であるが、ウルムチ空港はターミナルが分かれており、前回の経験から、現在乗っている海南航空は第2、これから乗る南方航空は第3ターミナルとなる。このターミナルは少し離れており、第2を一度出て第3に行くには、少なくとも5-10分は掛かる。
先ずは機内でチーフパーサーに相談した。彼は直ぐに機長に聞いてみると言い、その結果、1時間前に着陸するので大丈夫と回答した。しかしその後、やはり50分前しか着陸できないと分かり、私をエコノミーの一番前に座らせた。その席に居た人間は黙って後ろへ移った。彼は航空会社従業員か、はたまた公安か。
そして着陸後、ビジネスクラスの乗客を飛ばして、私を一番先に降ろす。ところがそこはタラップで、バスが待っていた。地上従業員は一般バスに乗れと指示を出したが、私が日本人と分かると何と日本語で話しだす。時間が無いと告げると、横に来ていたビジネスクラス用のミニバスに私を乗せ、中にいた女性従業員に託した。
バスは直ぐに出発し、直ぐにターミナルへ到着。そして女性と私は走り出す。女性は途中、カウンターで南方航空チェックインの可否を確認、ダメと分かると直ぐにタクシーを拾えと指示する。ターミナルから外へ出ると、タクシーは見付からない。第3ターミナルが遠くに見えたので、取り敢えず走り出す。道は整備されておらず、雪が積もる車道をひた走る。途中から上りになり、相当きつくなるが、がんばる。そしてとうとう第3に到着。時間は4時を過ぎていた。出発階は2階、エスカレーターに乗り、南方航空カウンターへ。
チェックインカウンターには人は殆どいない。しかし係官は悠々と電話している。大声で、便名を叫ぶ。流石に反応した。直ぐにボーディングパスが出て来た。その時、私の便の搭乗アナウンスが流れた。それから荷物検査に進む。ここは混んでいたので、ファーストクラス用を通してもらう。靴を脱ぎながら、カシュガルのN教授に電話。その後、搭乗口まで走り、何とか間に合った。離陸予定時間の15分前であった。ドーッと疲れが出た。奇跡的に乗れた。