カシュガル老城
昨日は気になる一角があった。道沿いに高台があり、古ぼけた建物がいくつも見られる場所。そこはカシュガル老城と呼ばれ、1,000年の歴史を有する古来の街であった。古代カシュガルは疏勒(そろく)国と呼ばれていたが、10世紀に興ったカラハン朝の都がこの場所にあったという。
その王室の末裔たちが住み続け、その間人口も増えて行き、街は迷路のように複雑になっていった。まるで90年代に取り壊されるまで香港に君臨した治外法権後、九龍城を想起させる。現在も2000戸、1万人が暮らしていると説明板にはあるが、日中中に入り込むと人影はまばら。
その迷路を進むと古びたレンガの住居が並ぶ。継ぎはぎだらけの家、通路を挟んだ2つの家を上に板を通して繋いだ家。何となく郷愁をそそられる。家の入り口には木の門があり、その色やデザインは独特である。
偶に行き交う人も、我々を避けるように通り過ぎていく。観光客慣れしているのか、それとも何か訴えたいことがあるのか、その目は何となく沈んでいる。すっぽりベールをかぶった女性が薄暗い通路から出て来ると、アラブの国を歩いている錯覚にもとらわれる。
横を見ると一部取り壊しが始まっている形跡もあり、ここにも政府の意向が垣間見える。確かに耐震性の問題などもあり、建て替えた方が良いのかもしれないが、ここは歴史遺産であるから、本来であればきちんと保護すべきであろう。