街をふらふら散策すれば
その後は市街地を自由散策。ウイグルの街を歩いていると様々な物が目に入り、とても楽しい。ミシンを売っている店がある。今では日本では見ることが出来ない旧式のミシンとミシン台。自分が子供の頃を思い出す。
ケバブの焼き方も豪快で、煙がもうもうと上がって行く。お茶の時間なのか、その脇で老人が格好良い帽子を被り、茶をすする。お茶請けは焼き羊肉まん、肉汁がかなり出ていて、熱々で食べると火傷しそう。ナンを売る老人も格好良い。ナンの種類も豊富で、どれが良いか目移りしてしまう。鍛冶屋の老人が、路上で火をボウボウと燃え盛らせて、何や打っている。この街では老人の姿が多く、しかも元気が良さそうだ。
カシュガルは古来、西域の重要拠点。19世紀にはロシア、イギリスなどがこの地を巡って激しい駆け引きを繰り広げていた。グレート・ゲームと呼ばれている。文献にはロシア領事館、イギリス領事館が非常に立派であり、ここを行き交う旅人達が宿泊したとある。確か大谷探検隊のメンバーも泊まったと記憶する。その領事館は残っていないのか、地元で聞いてみたが、既に取り壊されているという。それでもロシア領事館のあった場所に案内される。今はその敷地を改造し、建物も完全に立て替えて、ホテルになっていた。100年前の外交にひと時、思いを馳せる。
カシュガルではどんなお茶が飲まれているのか、と聞くと、すかさず街中の店に案内される。店先には四角い形の黒茶が並んでいる。これを解して、そのまま飲むか、横にある薬草類を混ぜて薬用茶とするか。新疆では昔から肉を食べた後の消化を助けるほか、ビタミン補給のためにもお茶は欠かせない存在であった。特に薬用茶の効用により、長生きする人が多いとも言われており、単にお茶を飲むのではなく、生活の一部、いや重要な要素として茶を飲む。ただ新疆では茶葉は取れないため、多くは湖南省からの輸入。磚茶と呼ばれるレンガ上の形状は、輸送に便利であったから。尚伏茶の由来は夏の三伏から来ているらしい。
夜はエデンというおしゃれなレストランで食事をする。最近はこのようなおしゃれな高級なレストランが市内に多数オープン、富裕層に人気があるらしい。