カシュガルの高校生
お昼はまた立派なウイグルレストランでたらふく、羊肉とポーラ(ウイグルチャーハン)、ラグメンを頂いた。相変わらず幸せな日々が続いている。人によっては飽きてしまうかもしれないが、私はいくら食べても飽きることが無い。かなり適合している、いや本当に美味い物は飽きないのでは。
この席にはJ教授の同窓生が参加していた。某局課長クラスなど、カシュガルではエリート層だろう。皆慎み深く、我々に配慮して、色々と世話を焼いてくれる。勿論内地では漢族も同じように面倒を見てくれることがあるが、新疆で見られるウイグル族の配慮には更に深い絆のような物が見え隠れする。
その席に何故かウイグルの女子高校生が一人座っていた某課長の娘さんだという。確かに昨日も一部我々に同行していた。彼女は仕切りに隣のA教授と英語で会話している。まるで英語のレッスンのようだな、と思っていると、課長が「娘は最近英語を習い始め、外国人と会う機会が殆どないので、今回同席させた」という。まさにレッスンだった。
彼女は高校卒業後、出来れば海外留学したいという。高校1年生で既にはっきりした意志を感じる。英語を習っているので行先はアメリカかイギリス、はたまた香港かなどと思っていると「行きたい所はフランス」とあっけらかんと答える。その表情が少し子供っぽく、ホッとする。日本の印象を聞いてみると「あまりよくは知らないが、印象は良い」と答えたが、日本への留学はどうかと聞くと、一言のもと、「全く考えられない」とバッサリ。日本の大学の先生達もこの一言にはちょっとショックだったのか、「これが今に日本の大学の現状ですね」としんみり。
故郷である新疆に止まることは、彼ら若者には少し苦痛なのかもしれない。それは今の置かれている現状を見れば、仕方がないことだろう。日本の若者は相当疲弊しているが、まだ余力のある日本と言う国に甘んじているが、もう10年もすれば全く別の行動が出て来るだろうか。