上島珈琲
夜は連日大宴会なので、今日は軽くすると言われてホッとした。近所の綺麗なレストランで出されたのは、胡椒の効いたスープの中にパスタのような千切れた麺が入っている。胃に易しいし、寒さの中で暖かさが伝わる。
ホテルへ戻ろうとするとN教授が「ちょっと物足りない。ビールが飲みたい」という。確かホテルの横に上島珈琲があったのを思い出し、そこへ入る。上島珈琲、元は日本のUCCであるが、UCCが台湾へ行き、合弁を設立。その後その台湾UCC、上島が中国へ上陸した。今や全中国を網羅するほどの店舗網があり、その勢いは凄い。この中国の果て、カシュガルにまで進出していた。
日本と決定的に違うのは、ここは単なる喫茶店ではなく、ちょっと優雅な会合の場所。そして当然のように酒も提供される。だからN教授にニーズにも、コーヒーを飲みたい我々の要請にも応えてくれる。日本初、台湾で形態を変え、中国で成功した典型例かもしれない。
店内はかなり賑わっている。コーヒー1杯、50元前後だから、スターバックスのラテが30数元と比べても中国的に言えばかなり高い。周囲の客は高そうなワインなどを飲んでおり、コーヒーだけ飲んでいる客は見掛けない。夜は飲み屋なのだろう。
ウエートレスが注文を聞きに来た。彼女、カシュガルの大学に勉強に来た学生アルバイト。だが、そのきびきびとした受け答えはここカシュガルでは極めて新鮮であった。恐らくマニュアルがあり、それを叩きこまれている。これは日本式サービスだろうか。兎に角笑顔ではっきり、このサービスは嬉しい。もし日本発のサービスなら、中国にも十分受け入れられるだろう。
比較しては申し訳ないが、カシュガルのウイグル族の働き方とは全く違う。これは労働概念の違いだろう。ホテルの従業員にも見られたが、サービスという概念があまりないし、必要以上に働くことも、頭にはないだろう。このような点からも、どんどん漢族に仕事を奪われていく。少し考える余地はある。