杏ジャム工場
午後はジャム工場に行く。これまた広大な敷地だ。何でこんなに広い場所が必要なのだろうか。工場の建屋もいくつか見えるが、やはり新疆では土地が余っているのだろうか。ここは2001年に工場が作られた。中央の大企業、中糧集団に属するようだ。従業員は54人、平均年齢28歳とある。この広さで54人しか働いていない。どうなっているんだ。しかも我々が訪れた時、この敷地内に人の影は全くない。ようやく事務所から漢族の男性が二人出て来た。
話を聞いてまた驚いた。この工場は周辺で採れる杏を原料とした杏ジャムを生産しているが、杏が取れる時期は6月頃で、その時期40日程度でジャムを作り、後は使用していないとう言うではないか。生産したジャムは主にアメリカなどに輸出するとのことであるが、どうしてもっと生産しないのか、と問うと、一言「採算が合わない」。 1年中生産するには原料の杏を貯蔵する必要があり設備に金が掛かる。一方輸出先の需要はそこまで多くはなく、かと言って国内需要などはあまりなく、売るのに苦労する。だが、ここの従業員はどうしているのだろうか。「その時期になったら北からやって来る」と。
ようは、この大集団は従業員を各工場で使い回しているようだ。こんなことが出来るのは漢族だから。従業員も恐らくは漢族で、会社の命でどこでも行き、稼いでいるのだろう。地元を大切にするウイグル族には出来そうもない。そういえば、この敷地も元はどこかの国営工場だろう。それを中糧集団が買い取って、資金効率だけを考えて運営している。ウイグル族に恩恵はない。