フォーは牛肉だけ
時間は既に夜10時。ようやく部屋に落ち着いたが、兎に角腹が減る。どうしようか、先ずはロビーに行き、フロントの女性に「この辺で食事が出来る場所」を聞く。すると彼女はすぐに紙を取り出し、説明を始める。地図に手書きで書きこまれた場所と食べ物、これはその後も実に役に立った。大きなホテルではこのようなサービスはない。旧市街地の安宿ならではの素晴らしいサービスであった。
先ずはベトナムと言えば、フォー、ということで、探す。地図にあった場所は見付からず、その辺の屋台でチキンフォーを頼む。すると店のお婆さんが「チキンなんてあるわけないでしょう」という顔をした。そして牛肉を指す。後で聞くとハノイではフォーと言えばビーフなのだそうだ。チキンは戦争でチキンが手に入らない時に中部や南部でチキンを使ったとのこと。これは知らなかった。
牛肉入りのフォー、ボーフォーは実にウマかった。勿論空腹であったことも一因だが、何よりスープが良い。セロリと香菜も効いている。夜10時でもお客は歩道にせり出した椅子に座って皆食べている。これがハノイの食文化か。8年前にはない体験だった。1杯、5万ドンは勿論かなり値上がりしている。
続いて歩いていると男たちがビールを飲んでいる店があった。何となく入ると店内に何故か漢字で「禅茶一味」と書かれた額が掛かっている。華人の店なのだろうか。ハノイのベトナム人は中国人が嫌い、とよく聞いていたので、意外。だが店の誰も中国語は話せず、返って英語は通じた。ただこういう店は、外国人料金なので高くて不味い。ここではチャーハンを頼んだが、やはりそうだった。残念。