3月18日(日) 4. タイグエン
(1) タイグエンへ ホテル
翌朝、ズンさんがホテルに迎えに来てくれた。8年ぶりの再会である。先ずは昨晩のホテル騒動の後始末で、2日後に戻った際に、以前予約したホテルではなく、このホテルに泊まりたい旨を伝える。これには全く迷いが無い。
実は朝食も気持ちが良かった。ここも最上階を食堂としており、朝食をここで食べるのだが、何とも眺めが良い。小雨は降っていたが、それがまた風情を誘う。この辺りは旧市街地で、家々も密集しているが、皆細長いビルを建てており、隣もよく見える。面白い。朝食はビュッフェで質素。欧米人の旅行者も多く泊まっている。
またフロントの愛想は相変わらずよい。みんなニコニコしている。どうしてだろうか。昨晩のあのホテルは本当に愛想が悪かったから、ハノイ全部が愛想がよいわけではない。やはりこのホテルが優れているということか。
タングン
車で2時間ほど走る。日曜日であり、車はそう多くはない。平日の8時過ぎは相当のラッシュだそうだ。日曜日でラッキー。道路は市内は狭く、郊外は広いが所々ガタガタ。それでも、以前より大分道路事情はよくなっているらしい。
ハノイの北西約100㎞、タイグエン県タイグエン市、ここがベトナムで有名なお茶の産地だと聞く。ベトナムのお茶、というと、どうしてもハス茶、ロータスティが登場する。だがズンさんによれば、北ベトナム(ハノイなど)では、ハス茶を飲む人はあまりいない。飲むのはここタイグエンの濃い緑茶。その産地の中でも北ベトナム人が最も好むのが、タングンという村の緑茶ということで、先ずはその村へ行って見る。ズンさんにあてがあるわけではなく、突撃するだけだ。タイグエン市の郊外にあり、茶畑が広がる。その茶畑の中に、お墓がある所など、如何にもベトナムらしい。
道沿いにあった1軒のお茶屋に入る。ここは40年前からお茶造りをしている夫婦がお茶を販売していた。奥には焙煎機も置かれ、ここで茶作りが行われている。いきなり出て来たお茶を飲むと、かなり苦い。それ程濃いお茶だということ。何故こんな濃いお茶が好まれるのかは分からないという。実は後で台湾人及び潮州人の茶商に聞いた所、恐らくは100-200年前に福建南部、潮州などから工夫茶を持ってハノイに行った者がいたのだろうということ。確かに工夫茶はかなり小さなカップに濃いお茶を淹れて飲む。まるでエスプレッソだ。茶樹は10-20年が良く、数年前にも新しい茶樹を植えたという。輸出は殆どなく、国内需要を賄っている。
帰りに昨年11月に開かれたベトナム初の国際お茶博覧会の会場を見に行った。立派な建物が目に入ったが、残念ながら人はおらず、見学すらできなかった。これも一つの箱モノ行政であろうか。ベトナムのお茶事業はまだまだこれからだ。