3月22日(木) ルーさんのお茶
いよいよハノイ最後の朝。一昨日行った庭園お茶屋で聞いた、お爺さんが朝だけ、常連にだけ開くお茶屋があるという話、気になってしまう。ズンさんも気になったようで、行って見ようか、と言ってくれ、連れて行ってもらう。タクシーでどこをどう走ったのか、郊外の公団住宅が建つ場所にやって来た。一体どこにあるのかと見ていると、何と建物と建物の間の小さなスペースでお茶を飲んでいる人が見えた。まさかと思って行って見ると、まさにそこがお茶屋さんだった。これはこれで凄い。
ご主人はルーさん、83歳。既に庭園茶屋など仕事は書道家の息子さんに譲り、今は好きな時に常連さんだけにお茶を淹れて過ごしている。こんな生活良いな、と思ったが、ここまで来るのは大変だったようだ。学校の先生をしていたルーさんは、60歳で定年になったが、年金は少なく、折からのドイモイ政策で物価は上がるばかり。これでは生活できないと好きなお茶を商売にしたという。その拘りは相当なもので、先日我々も行ったタイグエン県のタングンの茶農家を飲み歩き、気に入った所に自分のお茶を作らせたという。
ルーさんの茶屋には如何にも常連という人々が数人、新聞を読んだり、話したりしている。お茶は黙ってルーさんが出す。その日のお茶は1種類のみ。今週のお茶は張り出されており、好きなお茶の日に来るのかもしれない。料金は格安らしい。お茶はやはり渋め。
壁には黒板があり、何やら書き込まれているがベトナム語なので分からない。きっとお茶に関することが書かれているのだろう。新しいお客さんが来たので席を譲って失礼する。なかなかいい空間だ。