2. 福州2日目(15日) 紅茶屋の魏さん
翌朝10時に魏さんがホテルにやって来た。そしてまた紅茶屋に行った。魏さんの一族は1914年に九州で創業、70-80年代は日本の土産物などの貿易に従事、その後改革開放で不動産業をやり、魏さんはお父さんから不動産業を引き継ぎ、最近好きな茶業に乗り出している。魏さん自身も1980年代の立命館大学へ留学。その後帰国し、福州で生活している。日本語は忘れた、と言いながら、毎年日本に出掛け、3月のFoodexにも出店していた。私も行ったのだが、福州のお茶屋さんには気が付かなかった。友人で茶業をしているSさんは、そこで魏さんと知り合ったと聞いた。不思議なご縁だが、お茶関係なら当然か。
紅茶屋は2年ほど前に開業。所謂喫茶店をイメージして作られており、我々には違和感はないが、福州では珍しい存在。中国中から18種類の紅茶を集めて売り出しているほか、お店では昨日のワッフルやケーキ、スパゲッティなども食べられる。ソファーでゆったり出来るし、会合で使う人も多い。
魏さんは「商売は大事だが、お茶文化を広めたい」とも言う。確かに中国人がお茶を飲む機会も一般的には減って来ている。お茶処の福建省とて、コーヒーのチェーン店が進出、若者に人気となっている。一方、中国茶を業とする人々も、儲け話に血道を上げ、お茶本来の文化的な側面が損なわれている。
また福建省はある意味で紅茶の故郷であるにもかかわらず、烏龍茶や鉄観音ばかりが喧伝され、影が薄れている。その意味でも中国人に紅茶を宣伝することに意味があるとも言う。確かにお茶屋さんも、飲む側もその歴史などにはあまり興味を持たないのが現実である。私の調査もこのようにして、紅茶を主に考えてみることにした。