福州の茶市場
午後はお茶の卸売市場へ案内してもらう。この市場、結構歴史があるようで、周辺も含めれば数百軒のお茶屋が並ぶ巨大市場。福建省のお茶を中心にお茶なら何でもありそうだが、人通りは少ない。
魏さんの店、元泰茶業もここに店を出している。だが、やはり客足が鈍く、今月末に閉鎖する予定だという。お茶の消費が増加していると言っても、個々のお店や市場が必ず儲かる訳ではない。中国で増えすぎた茶城などの実態を少し見た思いだ。
福州のお茶と言えば、実はジャスミン茶。その老舗、春倫名茶の出店があったので寄ってみた。高級ジャスミン茶は作るのに非常に手間が掛かり、今では生産量はかなり減っているという。昔はお茶と言えば、ジャスミン茶という時代もあったが、現代、これほど多種のお茶が出回ると、ジャスミン茶も厳しい。特に安いお茶が沢山で回るので、高級茶のイメージが作り難い。
お茶を試飲させてもらうと、非常に良い花の香りが鼻を突く。この香、女性などは好きなのだろうな、と思いながら、お店を後にする。後で貰ったパンフレットを見ると、この店、老舗と言っても1985年頃設立とある。そうか、中国の茶業は新中国建国後、殆どが国有化され、ここの農民は茶葉を国営工場に供出するスタイルだから、個人経営の会社は存在しなかった。だから、会社は最近、だが、お茶作りは数百年の歴史、と言わざるを得ない。何とも不可思議。
次に白茶の店へ飛び込みで入る。白茶も福州近郊の名産。白茶と言えば、香港の飲茶屋で香港人が良く飲んでいる寿眉茶を思い出す。日本人は香港人がプーアール茶やジャスミン茶を飲みながら点心を食べていると思っているが、比較的多くの人は白茶である寿眉を好む。一つには健康に良いとされ、もう一つは値段が安いからだろう。毎日のように飲むお茶に一般庶民は早々お金を掛けられない。
白茶で驚いたのは、プーアール茶のような茶餅が大量に売られていたこと。それも3年物だとか、2年物だとか、まるでプーアール扱い。何とか白茶ブームを起こそうとするのは商売上分かるが、それに意味があるのだろうか。正直それほど美味しいとは感じずに、立ち去る。