4.ガロー (1)ガローの茶畑は
それから1時間半車に乗ってガローへ向かう。ガローは、最初にミャンマーを訪れた際に行った街。その後、行こうと思ったが、叶わず今日に至る。今回はそれを察したTAMがアレンジ。8年ぶりの訪問となる。街はそれほど変わっていない、小さな街だ。ホテルは新しい所がいくつかできていた。
郊外の山道を行く。茶畑を訪ねるために。途中で車を降り、歩く。TAMは欧米人が好きなトレッキングガイドを長年やっており、この辺にも茶畑があることを知っていた。ところがいくら歩いて見ても、茶畑はない。どうしたんだ。
道路工事をしている人々と出会い、話を聞く。村長という人が自ら工事に参加していた。「確かに数年前まで茶畑はあったが、いくら作っても小規模では儲からない。そこでオレンジ栽培に切り替えたが、害虫にやられてしまい、みんな農業が嫌になってしまった。最近男は出稼ぎに行き、いい稼ぎがあると、この辺に家を建てている。農業なんて、バカバカしくてやっていられない」
もう少し歩くと確かにオレンジ畑があったが、収穫もされずに放置されていた。更に進むと一面銀世界?と見える畑も。害虫駆除のためにかなり強い農薬を撒いたようだ。農家の若者は「何だかもうどうしようもない」と吐き捨てた。
ミャンマーは偉大なる農業国家、というのが私の印象だったが、既に一部では崩壊していた。それを促したのが、現金主義による転作、失敗であり、収入源として資源産業などでの出稼ぎが農業収入を遥かに上回っている現実。これからのミャンマーの農業はどうなってしまうのだろうか、そして茶畑はどんどんなくなって行くのだろうか。