6. トラブゾン2 夕飯
トラブゾンの街に帰って来た。今日は本当に充実した茶旅が出来た一日であり、満足した。これも全てご縁であり、Kさんのお蔭であった。Kさんはトルコに来てわずか11か月だというが、既に相当のトルコ語を話しており、驚く。「周囲に日本人が一人もいない環境がそうさせた」とのことだが、それにしても凄い。
ホテル近くにKさん行きつけの店がある。地元の人が行く小さな店だが、そういう所が美味い。夕方5時過ぎだというのに客が続々と入ってくる。入り口には生の魚が並べられ、客は魚と野菜を選ぶようになっているが、常連が多いようで、一声かけて席に着く。
Kさんが「ここには美味いスープがあるが、すぐに売り切れる」というので注文すると幸いあった。レモンを絞り、香菜に似た物を入れるせいか、非常にさっぱりした味で、飲み易く、そして何故か後に惹く。魚ベースだったろうか。実は後日もう一度このスープが飲みたくてやって来たが、その時は6時前でも売り切れていた。
魚は豪快に焼かれ、どーんと出てくる。ここトラブゾンが元々漁港であり、魚を食べることに慣れていることが分かる。塩味で新鮮な魚を焼いただけ、と言えるが、その鮮度からしても美味である。玉ねぎとししとうを混ぜて食べると良い。食べ放題のパンを入れると直ぐに腹が一杯になる。
食後は街を散策。夕暮れ時、多くの人々が歩いている。きれいなお店も増えているようだ。一軒のカフェに入り、トルココーヒーを頼んでみた。ドロッとしており、かなり濃い味で、決して飲み易いとは言えない。それでも若者などはコーヒーを飲んでいる者もいる。一つのファッションだろうか。
Kさんと私、年齢も現在の境遇も違うが、お互いに日本から飛び出した人間として、様々な話で盛り上がる。それにしてもKさん、定年退職後、未知の国トルコへやって来ただけでもすごいが、そこでその生活をエンジョイしていることが羨ましい。一つの理想的な形ではないだろうか。