安化の街
親戚の人の車に乗り、安化の街へ戻る。「歴史を知りたいのならXXへ行け」と言われ、車に乗ったのだが、意図はよく伝わっていなかったらしく、運転していた人は「俺はよく分かんない」と言い出す。私も行く先の名前すら知らないので、こちらは諦めて、適当な場所で降りる。
今日は安化の街に泊まるつもりでやって来たが、何となく目的を達成したような気分になっており、また適当な宿も見当たらないことから、益陽に戻る道を探る。来る時はタクシーだったから、どうしたものだろうか。その辺の人に聞くと、バスターミナルを教えてくれたので向かう。ちょうど40分後に益陽行き最終バスが出るというので、切符を買う。
まだ時間があるので街を散歩する。実に古めかしい瓦屋根の家々が点在している。本当に昔の町並み、という感じで、空気も時間を超えている。資江という河が流れている。山に閉ざされたこの地域の唯一の道だっただろうか。この河が益陽に流れ、洞庭湖に流れ込んで行く。安化の茶葉もこの河を通じて運ばれていったのだろう。実に歴史を感じる風景だ。
バスは午後5時前に数人の乗客が乗って寂しく出発した。河沿いに道を取る。しかしやはり来るとき同様、道路工事の影響か、田舎の農道を走り出す。そうなると大型バスのこと、対向車とのすれ違いなどに大いに時間が掛かる。その内周囲は暗くなり、益々危険な感じがしてくれる。安化に泊まればよかったのだろうか。
一度トレイ休憩があったが、バスは3時間半ほど掛かり、益陽の街に到着した。益陽鉄道駅前で下車したが、既に相当に疲れており、タクシーを捕まえて今朝チェックアウトしたホテルに戻る。ホテルでは顔を覚えており、「昨晩泊まったお部屋は如何でしたか?宜しければ本日もこちらでどうぞ」と笑顔で言われる。安化で見たあの歴史的な風景とこの近代的なサービス、どちらも良いと思うのだが、突然都会へ戻り、少し戸惑う。