11月2日(金)
この列車の所要時間はバンコックからタイとラオスの国境であるノンカイまで12時間。夜8時に出て、朝8時に着くはずである。ところが朝6時頃起き上がっても、一向に着く気配がない。というか、車内放送は全てタイ語で全く分からない。私はラオスのガイドブックは持っていたが、タイの物は持っていなかったので、地名が分かっても今どのあたりは分からない。まあ、終点まで行くのだから気にすることはない。
食堂車で朝飯を食う。カオトーン、にんにくの効いたお粥、雑炊?これはどこで食べても美味い。車窓から朝日を眺めながら食うとまた格別である。食堂車ではトーストやサンドイッチとコーヒー、紅茶のデリバリーが忙しい。皆、自分の席で食べているらしい。席に戻ると寝床はきれいに片づけられ、座席になっていた。
朝8時になったが、今どの辺だろうか。東京なら「ただ今3分遅れています。誠に申し訳ありません」などいう放送が流れるが、ここでは釈明も無ければ、勿論謝罪などない。皆、黙々と目的地到着を待っている。斜め向かいの爺さんが時々笑顔を送って来るが、何しろ言葉が通じない。それ以上進展しない。
ノンサット、という駅名が見えた。ノンカイに近いのかと思ったが、まだまだ列車は水田地帯を走る。ようやくウドンタニという駅名が見え、大勢が降りていく。どうやらもうすぐのようだ。最後に座席車両を見学したが、この固い椅子で10数時間はきつそうだった。
ついにノンカイに着いた。時刻は午前11時40分、実に16時間近くが経過していた。遥々来たな、そんな田舎の風景があった。