茶葉研究所と博物館
キャンディは茶の産地としても有名。ここには茶葉研究所があると聞き、突然訪ねて見る。小山の上に有ったその研究所の前には茶樹が植えられ、いい感じで育っていた。オフィスへ行き、茶の歴史の話を聞きたいと申し出ると男性が応対してくれた。ただ彼は何だか急いでいるようで、話を早く切れ上げたいと顔に書いてある。分かったことはスリランカの茶葉生産は90%以上が紅茶だが、中東向けなどで緑茶生産も始まっていることぐらい。どうやら帰宅時間のようだ。
茶の歴史に関してはTea Museumに行けという。研究所の直ぐ近くだと言うので急いで行って見ると、小さな製茶工場のような建物があり、その横に博物館が併設されている。入り口が分かり難く、ようやく探し当てて入ろうとすると何と今日はもう閉館だという。しかし表示には4時半までとあり、まだ3時40分だ。しかし良く見るとチケット販売時間が3時半まで。お客が無いのでスタッフが帰ろうとしていた。日本から来たことを告げ、入れてくれるよう頼むが断られ、ではせめて資料だけでも、と言っても取り合ってくれなかった。この辺にイギリス統治下の慣習、親切心の無さ、政府機関関係者の対応が見えるようだった。
この博物館、それほど重要なのかとの思いで立ち去るが、その後何処へ行っても「茶の歴史はここ」と言われてしまい、どうしても行かねばならないと自覚する。
お姉さんの家
仕方なく次へ進む。次はスマのお姉さんの家へ行くという。スマはいないが、そこで紅茶を飲んだらどうかという提案らしい。行って見て驚く。小高い山の中腹、自然に囲まれ、キャンディ市内も見渡せる場所に家があった。そして家の中は実に豪華。斜面に作られているため、家が3段階になっている。大豪邸である。
入り口にはソファーセットが2つ。バルコニーへ出ることもできる。天井も高い。実に居心地が良い空間。一段降りると階段の両脇に部屋がいくつか見える。そして一番下には大きなテーブルがあり、お茶を頂く。キッチンも大きく、バルコニーもある。何とも結婚式場を思わせる。
紅茶は実に美味しい。基本的にミルクティを飲むようだが、私の為にプレーンティを淹れてくれた。他の皆さんはミルクと砂糖をたっぷり入れて飲む。実に甘そうなケーキが出て来る。ビスケットも出て来る。家庭でのもてなしはやはり量が大事。
ある年齢以上の人は家庭ではミルクティしか飲まないと言う。偶にコーヒーを飲むにしてもネスカフェのインスタント。ネスカフェは非常に有名で、コーヒーと言わずネスカフェ=コーヒーといった感じだ。紅茶は朝、10時、昼、3時、夜と多い人は一日5回飲む。10時と3時にはおやつも食べる。日本の3時のおやつは元々イギリス、そしてアメリカからもたらされたのだろう。
お姉さんは政府職員だったが既に引退。ご主人は弁護士、息子はコロンボの学校へ行っているとか。絵に描いたようなエリート一家だ。ということはスマも裕福な家庭の出身なのだろう。そこからお坊さんになる、ということはどんな気持ちなのだろうか。