ブッダが訪れた寺
もう一度バドゥッラの街まで戻り、針路を北にとって、キャンディまで直接帰るルートが選ばれる。2時間以上車に揺られているとウトウトしてくる。突然起こされて外を見ると、何ともでかい湖が。良く見るとダムのようになっており、水力発電をしていることが分かる。この辺りは地面がフラットで道路も整備されており、快適に進む。
兎に角この2時間ほどは、何度も道路工事に出会い、通行を止められていた。何故そんなに工事があるのか、昔の日本の年度末工事を思わせるほど、現場が続く。だが、快適な道路へ出ると途端に、デコボコ道の工事の必要性を痛感する。人間とは何と我儘なものだろうか。
途中で突然スマが声を掛ける。何事かと外を見たが、何もない。車を降りて見に行くと、何となく小さな碑があった。「ここがスリランカの真ん中だ」とスマが言う。しかしどう見ても真ん中とは思えない存在感の無さ。どうなっているのだろうか。我々が車を降りたのを見て、後ろの車の人々も降りて見に来た。意外と物見高い人々かもしれない、スリランカ人は。
マヒヤンガナ、と言う街を通るとスマが言う。「ここに大きな寺がある。ブッダが訪れた寺だ」え、こんな田舎にブッダが訪れた?スマに寄ればブッダは3回スリランカを訪れており、その内の一度、この地へやって来たのだという。そんな昔にどうやって?「ブッダはどこへでも行ける」というが、どうなんだろうか。
寺の参道は新しく、周囲は畑。何とも素朴だが、昔からある寺とも思えない。正面に見える仏塔も、真新しく2500年前にブッダが来たとは思えない。人々が思い思いに座っていたが、雨が降り出し、退散した。
いろは坂
「18ものヘアピンカーブ?があるんだ」、ウバ県からキャンディのあるセントラル県に入るとスマが言う。因みにスリランカには10の県があるらしい。北海道の80%の面積と書かれているが、北海道とはかなり違って山岳地帯も多く、平地が少ない中で10県は多いのでは。
キャンディに行くには山越えとなるが、今年新たに道路が開通した。それが冒頭の発言。確かに番号が振られた表示が18から順番にある。まるで日光いろは坂だ。上るにつれて景色が良くなり、霞掛かった向こうの山が実にきれいに映える。
この道路を作るのに何年掛かったのだろうかと思うほど、難工事だったらしい。一番上で景色を眺めているとサルがやって来て、こちらを眺める。彼らは住処を追われたのだろうか。スリランカでは田舎町でリスなどを見掛けることも多い。自然が残っているということだが、今後は経済成長に軸足が移るのだろうか。