(2) リシュケシュ散歩
アシュラムの脇を流れるガンジス河沿いを歩いて見る。良く見ると薄い霧の向こうに山影が見える。リシュケシュの河沿いはヒンズー教徒憧れの場所。ここにアシュラムを持つことはステータスであり、ここの土地の価値は想像以上に高い。確かに河沿いには立派なアシュラムや綺麗なホテル、レストランが建っており、建設中の所もある。
河は乾季で水量は少ないが上流にダムが出来、水の量は調節されているようだ。川岸で子供達が元気に遊んでいる。向こうで大人、男性のみが川岸でたき火をしている。しかし近づいてみると、何とそこでは火葬が行われていた。木の枠組みの中に、何となく頭のような物が見えた。火は盛んに燃えているが、全て燃えるまでに半日近く掛かるという。当日は余熱で熱いので、骨は翌日改めて拾いに来るらしい。
インドでは死者の遺体は抜け殻としてすぐに処理される。日本では遺体は非常に重要視されおり、考え方の違いが浮き彫りになる。だが、良く考えてみれば、遺体を単なるモノのように扱うインドで火葬は半日掛かり、一方遺体重視の日本が現在では工場の処理施設のように、僅か45分程度で焼いてしまい、悲しみもそこそこに骨を拾って終了してしまうのは何故だろう。どちらが死者に対して哀悼の意を表しているのだろうか。
更に行くときれいな橋が見える。向こう岸には相当立派な施設も見えてきた。ヨーガで有名なシバナンダのアシュラムもある。リシュケシュは欧米人もヨーガの聖地として崇めている。またビートルズが逗留し、特にジョージ・ハリスンがここの音楽に入れ込んだことで世界的な場所となった。有名人が行って有名になった場所にはロクなことは起こらない、と思っているが、ここはどうだろうか。