李さんの店
市内にある李さんの店へ行く。この店はオジサンがオーナー。オジサンは何と80年代に安徽省にある農業大学、通称お茶大学を卒業して、地元に分配(配属)で戻ってきたが、六堡茶及び梧州茶廠の低迷により、直ぐに飛び出し、自ら商売を始めたらしい。お茶の知識は相当にある。この店は私の泊まっているホテルとは街の反対側にあり、市政府などがあるので、街の中心と言えるが、茶城が我がホテル周辺に移っているため、少し不便。常連客は沢山訪れるが、観光客が来るような場所ではない。勿論彼らの主業は卸しだから、それでよいのだろうが。
昼時になると当然のように飯へ行く。近くの地元レストラン。先ずは例湯が出る。この辺が実にいい。しかも美味い。李さん曰く、「我々両広人は、スープが無ければ始まらない」と。両広人とは広東、広西の2つを指すと思われるが、何だか清朝時代の両広総督を思い出す。それ程にこの2つは密接なつながりがある。ましてやほぼ広東省に近い、ここ梧州は広東の影響を大きく受けているのは当然であろう。それから白切鶏が出て、大腸ときくらげの炒め物が香ばしい。うーん、私の味覚に合っている。嬉しい。オジサンもジョインして、飯を何杯も食う。
日がな茶を飲む
午後も雨模様。今日は何もできないね、とばかりに、店で茶を飲み続ける。六堡茶といっても相当沢山の種類がある。レンガ茶もあれば茶餅もある。可愛い籠に入れた散茶もある。店には大きな古い木の桶に散茶が入っている。良く見ると葉っぱのまま、発酵させた茶まである。
時々常連客が入って来て、茶を飲みだす。ある客が入って来た時、李さんが『70年代の散茶だ』と言って、取って置きの茶葉を取り出した。それはまるで枯葉。そして信じられないほどにマイルドで、心地よい。その客も気にいって、クレジットカードを取り出し、決済を始める。1斤、3000元以上もする茶を何気なく買っていく。聞けば別の街の不動産業で成功したオーナーだとか。
お客も入って来るが、物を売り込みに来る者もいる。南寧から来たという女性二人組、お茶ではないが健康に良いという飲み物を持ってやって来て、店で実演販売を始めた。お客もちょうど良い話題が出来たということか、興味津々で話に加わっていた。が、彼女らが去ると『最近あんなのが多いんだよな』と。田舎の人は人が良いのか。