3.六堡鎮 六堡鎮へ
梧州の街を抜けると、いくつかの工場があり、その先は畑が広がっていた。そして30分ほど進んでから、山道へ入る。最初は広かった道がどんどん狭くなり、そして分かれ道ではどちらへ行くのかさえ、分からない。表示もなく、勿論聞く人もいない。過去に来たことのある李さんの勘を頼りに進んでいたが、何とその頼みの李さんが体調不良を訴える。恐らくは元々車に弱い体質なのだろう。だから昨日もあれだけ親切な彼が『村へ行く山道は大変だ。雨季で道がぬかるんでいる』と行くのを拒否していたのだ。悪いことをしたと思ったが、しかし私は進むしかないのだ。
1時間半ほど掛けて六堡鎮に到着。周辺には茶畑が広がっていた。その中に古風な建物が見える。近寄ると六堡茶廠と書かれている。ここが六堡茶の故郷なのだろうか。実はこの茶廠、昔は隆盛を誇った時期もあったが、1980年代には一度倒産し、最近の街興しで、別の街の人間が投資して再興したとか。六堡茶には不遇の歴史がある。
茶廠の裏には畑があったが、それほどの面積はない。昔は広大な敷地に茶樹が所せましと植えられていたが、その後茶の販売が低迷、100年単位の貴重な茶樹がかなり切り倒されて、畑に替えられたという。たまたまあった樹齢100年の木を見たが、100年でもまだか細い感じがした。改革開放により、国有企業が少しずつ立ち行かなくなった様子が分かる。
茶廠の対面にも茶畑がある。なだらかな丘を登ってみてみる。数人の女性が作業しているので聞いてみると『既に1回目の茶摘みは終わった』とのことで、今日は雑草取りを行っていた。ちょうど4月中旬ごろに茶摘みが行われていると聞いてきたのだが、天候不順で一足遅かったようだ。