バンドンスキで
ホテルに帰り、一休みした。Tはこれから休暇でバリ島に行くといい、分かれる。今回は本当に彼の世話になった。そして何より面白い旅ができた。感謝。
夜は昔仕事上で知り合ったAさんと再会した。Aさんは学生時代インドネシア語を学び、現在はこの地の銀行経営に携わっている。インドネシアでは希少な日本人だと言える。
プラガ通りのバンドンスキという店に出向いた。ホテルからはそう多くはないが、歩いていくとそれなりの距離があった。プラガ通りはバンドンではおしゃれというか、画廊などもあり、絵描きが道端で絵を描くなど、少し洋風な雰囲気が漂う。
バンドンスキ、という店名が面白い。タイスキと呼ばれる鍋にあやかって付けられたものだろうか。実際食事の内容はあのタイスキと同じだった。ワゴンに乗せられた具材から食べたいものを取り、鍋に放り込む。このシンプルさが良い。Aさんは焼酎を持参し、氷を貰って飲み始める。持ち込み可、それもよい。
最近日本ではインドネシアが注目されており、ビジネス視察も増えている。だが、マスコミ報道と実際とはかなりの開きがあり、インドネシアのビジネスはそう簡単ではない。またその報道は首都ジャカルタ中心で、バンドンなどは念頭にない。労働、教育、政策がない政府など、経済成長という言葉とは裏腹に問題は多い。それでもインドネシアには可能性を感じる。日本に戻るつもりはない。Aさんの言葉には重みがある。
午後6時から店が閉店になるまで焼酎を飲み続けた。久しぶりに再会ということもあるが、アジアという視点で語ることは楽しい。日本での狭い議論は実にむなしく思われた。