列車でジャカルタへ
午後1時にホテルをチェックアウト、荷物を引いて駅に向かう。切符を買った時に入った場所は実は裏口だった。ホテルからもっと近い場所に正面玄関がある。駅にはオランダベーカリーなどもあり、小さいながらも悪くない。
出発の40分も前にホームへ入る。既に私が乗る列車はそこにあった。バンドン、ジャカルタ間を実質ノンストップで走る特急だったのだ。そして全席が一等席。外国人だから売られたチケットではなく、はなからこれしか席がなかった。ようやく納得。座り心地は悪くない。
列車に乗客が乗り込み、ほぼ満員で出発。外国人に見える人はほとんどおらず、インドネシア人ばかり。子供も乗っていた。座席は広く、非常に快適。窓からは山や畑の風景が過ぎていく。これはなかなか良い列車旅だ。確か茶畑も見えると聞いていたので、目を凝らしてみていたつもりだが、見付からなかった。
車内販売もやってくる。きれいなお姐さんが注文を取る。私は頼まなかったが、食事を頼んでいる人もいた。見ていると料理はなかなか出てこない。結局ジャカルタ到着30分ぐらい前に食べている人もいた。これは偶々だろうか。
列車は途中で停まることもなく、ジャカルタ近郊まで来た。ここまではゆったりしていたが、そこからは各駅のように停まり、人々が下りて行った。私は一つの勘違いをしていた。この列車はコタという駅まで行くと。ところが無情にもひとつ前のガンビル駅で全員が下りた。私も下ろされた。チケットをよく見るとガンビルの文字が見えた。しまった。
さて困った。コタ駅からホテルの行き方を調べていたが、この駅がどこにあるのかすらわからない。そうか、各停に乗ってもう一駅行こうとしたが、駅員は外へ出てバスに乗れという。仕方なくバス停を探す。バス停はよくわからなかった。そこへちょうどタクシーが来たので手を上げると停まる。住所を見せて何とか乗り込む。夕方6時前の退勤ラッシュを予想したが、案外スピードを出していたがかなり走った。日が暮れていく。そして運転手は場所が分からないと言い出す。これは料金を割り増しする作戦か。仕草を見るとそうでもなさそうだ。さてまた困る。運転手も懸命に探す。コタ駅を通過して大体の位置をつかんだが、それからも分かり難い。ようやく見つけたそのホテルはかなり古びた街には場違いな40階建て。不思議なところだった。