昼ごはん
村に入った。高さんの故郷、安渓県大坪郷萍洲。静かな山間の村だった。道沿いの建物に入る。薄暗い2階ではおばさん達が麻雀卓でも囲むように、作ったばかりの鉄観音茶の枝と雑物を取る作業をしていた。我々が入っていくとすぐに『ご飯、ご飯』とばかり、茶葉を片付け、小さなテーブルを出し、炊飯器と鍋が置かれた。椀を一つ渡され、食べろ、という。スープをすくう。
スープにはのりと豆腐が入っていた。いやー、これは台湾だ。台湾と同じスープだ。美味い。どんどん飲む。台湾でも中国でも農家では椀一つでご飯を食べる。スープを飲み終わらないとご飯にありつけない。ご飯はなんと野菜ときのこの炊き込みごはんだった。何とも懐かしい味。思わずお替りした。
面白いのがおばさん達はご飯をよそうとそのまま立って食べている。低い椅子もあるので、座って食べる人もいる。皆忙しいからだろうか。私は物を置いている台に座って食べた。何となく好ましい。こんな飾らない昼ごはん、いいな。
食後は昼寝でもして休むのかと思いきや、またすぐに茶葉を出し、作業が始まる。この時期、仕事はまさに掻き入れ時。その細かい作業には恐れ入る。これを一日中やれと言われれば頭が痛くなりそうだ。誰が誰かよくわからないが、紹介はない。オイオイわかるだろう。