5.金門島 台湾へ行くのか
国際フェリーなので入国審査がある。台湾の入国カードを適当に書き、係に提出したところ、『あんた、ここに泊まるの?それとも台湾へ行くの?』と英語で聞かれる。『台湾へ行く?ここ台湾だろう』と中国語で答えると、『ここは福建省だ』と言い返される。ようは中華民国福建省に私はやってきたわけで、彼女の言う台湾は台北などのある島を指すことが分かった。それにしてもビックリ。
そして金門島を観光すると告げると『宿泊先を書け』とまだ通過させてくれない。これから行って決める、というと『では入国させられない』と頑張られる。金門に泊まるか、日帰りで厦門に帰るかも分からないと突っぱねると『ならば携帯番号を書け』と言われ、中国大陸の携帯番号を書いて、通過した。何と携帯は台湾にローミングしており、使えた。
そしてイミグレを出てすぐにさっきの係官の聞いていた意味が分かる。台湾系航空会社のカウンターが4つ並んでいたのだ。近づくと13:30台北、14:00台中などと表示されている。何とここから飛行機に乗れば、台湾へは一っ飛びで行けるのだ。空港までは7㎞離れているようだが、表には専用バスが待機していて、常時乗客を運んでいく。このサービスは速い。現在12時過ぎだから、1時半の台北行(国内線)には十分に間に合う。2時半には松山空港に着いており、3時半には屋台で牛肉麺を食べていそうだ。乗客の動きを見ていると、金門観光者は殆どおらず、皆トランジットで台湾へ帰る(行く)のだ。合点がいった。
それにしても何の予備知識もなしに来てしまった。ここがどこかも分からない。出口を出るとタクシーの呼び込みがあったが、どこに行ったらよいかもわからず、途方に暮れる。港とはいえ、周囲には本当に何もない。仕方なく、帰りのフェリーを確認しに隣の建物へ入ると、両替があった。そうか、私は台湾ドルを持っていない、金を持っていなのだ。タクシーにすら乗れない。
両替は台湾の銀行の出先が行っていた。人民元の両替はスムーズに出来た。銀行のおじさんは私が日本人だと分かると『島の問題は色々とあるけど、仲良くしような』と言って握手した。不思議な感覚。こんなのは福建省側ではなかなかない。そして親切に私の行くべき方向を示し、地図をくれた。