民宿はどこ
フェリーターミナルを出て、小高い公園へ行く。ここから港がよく見えた。そして道をとぼとぼと歩き始めた。歩いているのは私しかいない。時折大型バスが通って行くだけ。すぐに立派な建物が見えたが、これも福建省と書かれた役所。やはり私は福建省へ来たんだ。周囲は他に何もない。
15分ぐらい歩いていくと、古めかしい家がいくつも見えてきた。水頭村、ここが劉さんが言っていた古民家が集まる村だった。確かに村自体が保存地区になっているのか、皆古い。しかし人は殆ど出てこない、というより不在のように見える。
港でもここに来れば民宿は沢山ある、と言われた。確かに民宿と書かれた建物はいくつもあるが、どこにも人がいない。門に鍵が掛かっている。携帯番号が貼ってあり、用があれば電話しろ、となっているところもある。この古い家には住んでいないが、民宿として客があれば使っているのだろう。そこまでして泊まりたいとは思わない。
博物館があったので入ってみる。この村の歴史が綴られてはいるが、あまりよくは分からない。建物だけが非常に気に入る。落ち着いた造りの建物は木々の枝葉がよく似合う。
腹が減ったが、この村には1軒しか食べ物屋がない。休日などはもっと沢山開くのだろうが、致し方がない。そこで牡蠣の米麺を食べる。これはなかなか美味しい。この店へ来て初めて、台湾へ来た感じがした。ただ店の人たちは黙々と働いており、何かを聞ける雰囲気はなかった。この村に留まることを諦めた。