5月24日(金)
日本的な集合に目を見張る
翌朝は6時過ぎに起きる。朝食に降りていくと、既にヨーガ合宿参加メンバーはT隊長を中心にビシッと勢ぞろいで、食事をしていた。のこのこ遅れて行って恥ずかしい。『少し早いけど7時10分にタクシーに乗って』とT隊長に言われると、はい、としか言えない。え、県庁前8時集合ではなかったの?これがきちんとした日本の集合なんだ。一緒に連れて行って貰えるだけありがたい。
タクシーはちゃんと用意されており、殆ど荷物を詰める時間も無かった私はあたふたとチェックアウトし、乗り込む。全員の集合場所は県庁前。勿論10分で到着したので、30分以上、時間がある。出勤してくる県庁職員を眺めて過ごす。他に宿泊したメンバーも続々集まってくる。一人だけ来ない人がいて心配したが、忘れ物を取りに帰っていたようで、それでも8時前には全員集合して出発。まさに修学旅行のノリだ。
我々は久高島へ向かうフェリー乗り場を目指した。10時発のフェリーの乗るのに、8時40分には到着した。ところが切符売場には張り紙が。『10時のフェリーは欠航』と。次は11時半だそうだ。アジアを歩く私などは『そんなものか』と気にしないが、ここまで整然とした対応でやってきた皆さんは不満だっただろう。更にはその張り紙に『時間があるからセーファー御嶽でも見てきたら』と書いてあったらしい。如何にもアジア的な物言いだが、時間を潰す方法はそれしかない。荷物を預けていく。
セーファー御嶽へ
御嶽とは琉球の神が存在、また来訪する場所であり、祖先を祀る場でもあるとされる。地域の祭祀の中心となる施設であり、地域を守護する聖域として現在も多くの信仰を集めている。斎場御嶽は15-16世紀の琉球王国・尚真王時代の御嶽とされ、「セーファー」は「最高位」を意味し、「斎場御嶽」は「最高の御嶽」ということになる。
ターミナルから見上げた御嶽、実際に歩いていくとかなり急な坂道である。神職の最高位、聞得大君という女性が管理したとされるこの御嶽、来るだけでも大変だったのではないか。20分ぐらいかけて登る。山歩きのプロであるT隊長などはスタスタ上っていくが、日頃の鍛錬がまるでない私などは遅れて息を上げながら進む。
入口は世界遺産登録で整備されたのか、記念館のようになっており、説明がなされている。修学旅行生なども見学に訪れている。入場料200円。これは高くはないが、従来から信仰していた地元の人からも徴収したことで問題になっているらしい。確かに信仰の場が世界遺産になったからと言って、入場料を払うというのはどうなんだろうか。
御嶽は本来女性しか入れない聖域。だが私もずかずか入っていく。流石に自然に満ちている。元はもっと凄かったのだろう。鬱蒼とした林に神秘的な風が吹く。なぜか気持ちがハイになる。とても不思議な感じがした。特に一番奥、大きな岩が重なり合った隙間から向こうにある小さな場所。久高島が見えるその一角からは不思議な風が吹いてきた。久高島とこの御嶽が対になっていると分かる。
記念館前に戻ると、ふっと俗世に戻った。時間があるようでないような中途半端な体験をした。