聖なる母の木
ほろ酔い気分で観光へ。といっても『聖なる母の木』を訪ねる。ほろ酔いではマズイ。モンゴルの精霊信仰の1つだろう。樹木に対する信仰は深い。そして驚くことに聖地の周囲は全てレンガ茶で囲われている。お茶と聖地、宗教と茶、非常に興味深い。
この囲われた場所は元々母なる木があった場所とされ、木の切り株に皆が頭を下げ、頭をつけて祈っている。中には体全体を大地につけて、祈る姿もあり、チベット仏教との深いかかわりも見られた。この辺りに来た観光客は聖地ということでやってくるのだろう。多くの人が祈りを捧げている。
日本語でこの儀式についてN教授と話していると、後ろから『この紙を木の枝に巻き付けて』と日本語で言われ、ちょっとビックリ。モンゴル人女性が日本語を話している。『日本で勉強したことがあるの』という彼女。モンゴルには日本に住んだことがある、日本語が出来る人が人口比で言うと非常に多いと言われたが、目の前に現れると納得してしまう。
そして現在のご神木へ。高い木が一本そそり立っていた。周囲には無数のカタ―(布)が巻かれているが、何となく象徴に過ぎないような雰囲気がある。やはり元の木が大切、ということだろうか。因みにこのカタ―、チベット仏教で用いられる。青海省西寧のお寺に行っても、インドのラダックに行った時も見られた。モンゴルでは高僧謁見の際、五色のカタ―を重ね合わせるという。道理で色とりどりのカタ―があるわけだ。チベット仏教とモンゴル、勿論歴史的に大きな繋がりがある。