パンクしたのでゲル突撃訪問
モンゴル第二の都市ダルハンへ向け出発した。だがすぐに大きな競技場が目に入り、停まる。何とモンゴル相撲の競技場だという。それにしても大きい。競技場の前にはモンゴル相撲の王者の像が輝いている。さすがモンゴル。
そして車は順調に走っていたが、何と我々が乗ったランクルのタイヤがパンクした。いつ治るんだろうか、と心配してみていると、全く心配していないばかりか、むしろこれを喜んでいるN教授がいた。『向こうにゲルが見えるぞ。突撃しよう!』と歩き出す。皆半信半疑で付いて行く。1.5㎞ぐらいあったろうか、草原を突っ切りゲルに到着した。
ゲルでは我々を快く迎えてくれた。これは草原の掟らしい。来る者は歓迎すると。早々に中に招き入れられ、お茶が出される。このお茶が美味い。ヤクの新鮮なミルクで作っているらしい。驚くことには、このゲルの中にはテレビもあり、PCもある。実は裏に衛星アンテナがあり、何十局ものテレビ番組を見ることもできる。勿論携帯もあり、移動も最近は車でする。我々が思っているゲル生活より遥かに現代的だった。
『息子と娘はUBの大学へ行って先生になった』とも。ここにやってくる時は2人ともランドクルーザーだとか。長男が後継者として残っているが、『昔は草原で嫁が見付かったが、今は街に行かなければ見つからない。このゲルを継いで行けるかは分からないし、継げなくても仕方がない』と諦め顔で話す。このゲルの主人は遠くから我々が来るのを見ていたという。馬に乗って戻ってきた。さすが草原に生きる人だ。
パンクしたのは偶然ではないのだろう。こうして人と人は繋がり、そして別れる。これが草原の掟、だと思う。馬で戻りたかったが、パンクを直した車がそこまで迎えに来ていた。今は馬から車の時代になったのだろうか。