翠峰茶園
チェンライ空港出口に参加者が集合し、チャーターしていた車に乗り込む。今回は全てMさんがアレンジしてくれたので快適。天気は雨期にもかかわらず快晴で気持ちが良い。水田風景などを見て思わず『バンコックの喧騒が嘘のよう』との言葉が飛び出す。本当にのどかな田舎の風景にうっとり。
途中まではメーサイへ行く道を進む。メーサイへ着けば川の向こうはミャンマーだ。ミャンマーへの思いが頭をもたげた頃、車は山道へ入り、坂を上り始めた。それから程なく、今日の最初の目的地、翠峰茶園の茶畑と工場が見えてきた。茶畑では茶摘みがまさに行われており、思わず車を降りて歩き出す。この気持ちの良さは茶畑を歩いた人にしか分からない。茶畑の中に躍り込む。茶摘みをしているのはアカ族の女性たち。比較的年配者が多いが、中には赤ちゃんを負ぶって作業をしている者もいる。カメラを向ける赤ちゃんがにっこり。
茶工場まで1㎞以上歩いただろうか。向こうには大きな墓も見える。この茶園の創業者は2年前に亡くなっており、茶園が見渡せる場所に葬られている。茶樹は比較的若い。この茶園は第2工場建設とともに2005年頃出来たもので、茶樹は5年程度のものが主流。道の反対側には枯れかけた茶樹もあり、どうやらこちらは茶飲料専用に機械摘みする茶畑らしい。海抜は500m程度でそれほど高くはない。
工場では2代目の経営者が待っていた。彼は35歳前後、2人の兄がいながら、この茶園を継いだ。朴訥としたその様子は好感が持てる。工場脇は喫茶コーナーになっており、茶畑を眺めながら茶が飲める。何ともよい風が吹く、好ましい場所だ。お茶だけではなく、茶葉の入った揚げ春巻きやケーキなども出てきた。時間は11時前だがランチの状況になった。
この会社は1977年創業、華人の経営。軟枝烏龍、金宣などを主に作っている。今回のコーディネーターであるMさんの関連先だ。技術は台湾から、商品は主に台湾へ輸出しているが、最近はタイ人も茶を飲むことから国内需要も増えているという。
2代目は『これからは量の拡大は目指さずに、質の向上に努めたい。同時に海外にある観光茶園をモデルに観光客の取り込むに力を入れたい』とし、6‐7か月前に試験的に始めたこの喫茶店を、もっと本格的なスペースとすべく、設計中だという。確かに我々がいる間にタイ人を中心に欧米人などの観光客が何組もここを訪れ、記念写真を撮り、茶を飲み、茶葉を買っていた。Tシャツなど関連グッズの販売も行っている。
日本の静岡、韓国のチェジュ島などを参考にして、観光茶園を作っていくという。2009年に静岡で開かれた博覧会で金宣烏龍が金賞を得た際も、静岡の観光茶園を視察している。また2代目の義兄(姉の婿)は韓国人であり、そのルートからチェジュの視察などもしたようだ。ここは海抜も低く、観光客が来やすい場所であり、的確な戦略のように思う。
工場では摘んだ茶葉が外で干されていたが、まだ本格的な茶作りは始まっていなかった。従業員は工場100人、茶摘み100人、最低賃金はここまでは届いていないようだ。茶畑を覗くと、手で摘んでいる部分と機械ですべて摘み取られた部分があることが分かる。ペット飲料向けの茶葉供給も活発のようだ。