中国料理屋
予定が中途半端に終わったので、また昼飯兼夕飯を食べに行く。UBに戻る途中、N教授は目ざとく中国料理屋を見つけていた。そこに入る。普通海外でも中国料理屋といえば、派手な感じの看板を掲げ、それらしい雰囲気を出すものだが、ここモンゴルには漢字の看板は存在しない。モンゴル人の対中感情に極度に配慮しているらしい。
建物の中へ入ると、実に立派なレストランで、漢字で『龍府』と書かれていた。メニューを見ると、中国国内にある内容とほぼ同じで本格的な中国料理屋さんだ。これなら中国語も通じるかと思い、ウエートレスに話しかけると、恥ずかしそうに手を振る。青島ビールを飲み、『乾鍋菜花』『爆炒腰花』『水煮肉』など、味も中国と同じで、美味しく頂いた。隣では中国人が数人で宴会、白酒をあおっている。
オーダーした物と違うものが出てきた。それも3回も。1つ目はあっさりと皿を下げたが、2つ目の間違いでは彼女は困ったように止まってしまった。我々はそのオーダー違いの皿を受け取った。彼女はとても喜ばしそうな顔をした。聞けばレストランで働き始めて1週間、中国料理など食べたこともなく、間違ってしまうこともあるらしい。だが何度も間違えると首になる恐れがあり、ビクビクしている。中国系レストランで働いてくれるモンゴル人は多くはないはずだから、それでもここで働くにはそれなりの理由があるのだろう。
そして本当に腹一杯になり、渋滞の市内を以前泊まっていたホテルに再びチェックインした。シャワーでも浴びようかと思ったが、全くお湯が出ない。フロントへ行くと何と『明日の午後8時までお湯は出ません』と言われる。それなりのホテルなのにどうしてと聞くと、『この付近一帯全て出ません。UBのお湯の供給は中央システムが担っており、冬に備えて夏の間にメンテナンスするんです』と答えられて驚く。
冬の寒いモンゴルでは統合暖房が敷かれているのだろう。それを使ってお湯を供給している、何とも社会主義国家のようだ。だがこの話をその後モンゴル人にすると『我が家は既に20日間お湯が出ていない』などと平気な顔で言われてしまう。我々のホテル、結局翌日はダメだったが、2日後の午前中には何の連絡もなく復旧していた。感謝せねば。