8月22日(木)
日本語だけでは金にならない
翌日はN教授の大学が以前より交流のあるモンゴルの大学へ行った。モンゴル人学生は海外留学に行く者が非常に多く、この大学でもロシア、中国など海外の60の大学と協定を結んで、留学生を送り出していた。日本でも数校と提携を始めていた。ただ震災後、それまで留学していたモンゴル人が国に戻ってしまうなど、少し後遺症があるようだった。
今回驚いたのは、海外の大学と折衝する担当者が、どう見ても日本人にしか見えないモンゴル女性だったこと。その日本語もほぼ完ぺきであり、化粧の仕方まで日本人だった。聞けば、日本に留学、その後日本の大学で働いていたらしい。15年ぶりに戻ってきたという。更に彼女は高校時代、内モンゴルに留学しており、中国語も普通の話せ、英語もできるらしい。このような有為な人材は祖国モンゴルの成長とともに帰国し、尽力し始めている。
この大学は教育者を養成する学校だったが、『教育はお金にならないので教師志望が減少している』という。政府も教員給与アップを図り対応している。日本語を勉強する人は多いのだが、その就職問題がある。『日本語を学ぶ人は全員教師になるしかない』との言葉は重い。現在多言語教育も行われ、また日本語学科以外の人が日本へ留学するなど、日本語オンリーからの脱却も図られている。
この大学で学ぶ学生が選ぶ外国語の1位は中国語、次の英語、ロシア語と続く。中国嫌いのモンゴルだが、経済的、就職に有利という意味では断然中国が選ばれている。学部長にお会いしたら、中国語の先生だった。『私が中国に留学した90年代、中国語はマイナー語学だった。私も仕方なく留学に行った』とのこと。
その日の夜のテレビで『日本の高専に留学生を1000人送る』と教育大臣が発言していて驚いた。この大臣も日本留学組であり、『日本の高専はレベルの高い技術が学べる』として、日本を技術者養成の場としたい意向だった。3月の安倍総理モンゴル単独訪問以降、日本との関係は非常にスムーズになっている。その後訪れた日本大使館でも『総理訪問後、モンゴル側の対日姿勢は非常に良くなっている』とのことだった。総理は一体何を話したのだろうか。興味深い所である。