私は基本的にバンコックにいる時は暇である。ある意味、暇が売り物、ともいえる。と言う訳で我が宿泊先からプロンポーンへ買い物に行くときは、スクンビッドの通りまで10分以上歩き、そこからバスに乗る。バンコックのバスの良い所は、時々無料バスが走っていること。タダで中心部に行ける、それは素晴らしい。
昨晩遅く、香港からバンコックへ戻ってきた。明日は市内で大規模なデモあり、主要道路が閉鎖されるそんな時に何故、との声もあったが、何しろ私の拠点はバンコック。ただ機械的に戻ってきた。ドムアン空港からモーチット行き、最終バスに何とか乗り、深夜のBTSで帰ってきた。BTSが12時過ぎても走っているのを初めて知った。バンコックも便利になったものだ。これなら時間はかかるが、料金は合計80バーツ。タクシーだと300バーツを超えるので、大分お得だった。
今日は明日に備えて買い物に出た。ちょうど無料バスが来て縁起もよい。バスは混んでいたが、私の横の席が空いた。すると向こう側の女性が私の機先を制して、座ってしまった。こんなことは度々ある。日本では考えられない「横取り」である。タイの社会は女性が優先されているのだろうか、さも当然という感じで女性が席を取る光景がよくみられる。
だがその横取り女性は後ろに立っていたお婆さんにすぐに席を譲った。年寄りは大切にするんだな、と微笑ましく見ていると、また空いた席を彼女が横取りした。しかしその席の前に立っていたのは、老人男性。老人は座ろうとしていたにもかかわらず、彼女は全く席を譲ろうとはしなかった。しかも向かい側の席が空き、男性が老人に席を譲ろうとすると別の女性がその席に座ってしまったではないか。なんでこうなるんだろう。男性は老人でも席を譲られないのか?
タイの女性は確かにたくましい。それは女性が優先される社会ではなく、むしろ優先されないので、このような行動に出るのではないか、とも思ってしまう。そういう思いで見ていると、確かにバスの運転は荒く、立っているとコケル心配すらある。体力的に余裕のある男性が立っているという不文律があるのかもしれない。因みの子供の席を譲る人が多いのもその理由からかもしれない。
最初に横取りした女性は自分が下りる時になって初めて、老人に席を譲った。老人は笑顔で腰を下ろした。それがタイ社会なのだろう。我々には不可解なタイ、明日のデモはどうなるのだろうか?