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2014.01.31

 旅行記(アジア)

10年ぶりにソウルへ行く(4)ソウル 大衆食堂に見るホスピタリティ

大衆食堂の陽気なおばさん達

 

 

時刻は既に夜の11時。駅の処にパン屋があったが、もう閉店だろうか。何とはなく腹が減り、外へ出る。外へ出るとパンではなく、肉が食べたくなるのが韓国。条件反射だろうか。この南営駅付近には食堂は沢山ある。が、一人で入れそうなところはどこか、ちょっと考える。明洞など観光地には日本語の表示もあり、日本語も通じるだろうがここはローカルエリア。どうしようか。

 

迷っていると、店の前に日本語表示があるのでそこへ入る。だが店の主人は反応しない。『カルビ』と言ってみると、黙って外へ出ていき、ビルの奥の店を指した。そうか店を間違えたのか。奥へ入ると威勢の良いおばさんの声がかかる。こんな時間でもやっている。そういえば日本でも夜遅くまでやっているところは焼肉屋だったな。

 

店のおばさんにカルビ、というと、メニューを持ってきて上カルビを勧める。私は安く上げたいので、豚を頼んだ。するとおばさんは豚なら2人前からと言い出し、攻防があった。私が譲らないと、ビールか焼酎を飲めと勧める。これも断ると商売にならない客だなという顔をした。私はさらにライスを頼む。


 

豚肉は一人前でも大きかった。とても二人前など食える量ではない。よかった、と思っていると、何とライスに大きな鍋の味噌汁が付いてきた。更にはお決まりのサイドディッシュがどっさり。どうやってこんなに食べろっていうんだ、という顔をしていたのか、おばさんがまたやってきて、サンチェに焼いた肉を載せ、味噌を載せ、キムチも載せて包んでくれた。そしてなんと『あーん』しろと言い、食べさせてくれた。


 

何だか不思議な感覚に包まれた。私が黙っていると『美味しいか』と日本語を使ってきた。これしか分からないらしいが、十分だった。美味しいと伝えるとおばさんは喜んで次ぎ次ぎと作り、口に放り込んできた。こりゃ大変だ。味噌汁を掻き込みながら、どこまで食べられるか格闘した。この好意を無にすることはできない、訳だ。最後まで食べたときは死ぬかと思うほど腹が膨れていた。


 

おばさん達は皆ゲラゲラ笑っていた。店が暇なので遊ばれてしまったようだ。それでもこの韓国ホスピタリティ、恐るべし。これが若い女性だったら、コロッと参ってしまう男も多いのではないだろうか。この対応こそ、韓国のソフトパワーの源かもしれない。日本には既になく、勿論中国にはあろうはずがない。その夜は腹が一杯で、あのおばさんの笑顔を夢に見そうで、遅くまで眠れなかった。