ホテルの支配人カンさん
ホテルへ戻るとフロントにカンさんがいた。このホテルの支配人だ。今回連絡を取った南ソウル大学の安先生に宿泊先を告げたところ、『支配人は教え子だ』ということで、紹介を受けていた。こういう出会いは嬉しい。喫茶ルームでお茶を飲むながら話を聞いた。
カンさんは以前ソウル市内の免税店で部長をしていたが、働きながら安先生について日本語を勉強した。そして縁あってこのホテルに就職した。韓国は90年代終わりから激動を迎え、色々なことがあった。政治的にも常に何か起こっている。その中で一貫して日本人客を中心に受け入れてきている。現在はHISと提携し、お客の70%は日本人だという。
最近は中国人観光客が増えているが、彼らは部屋を汚すし、廊下で騒ぐなど評判がよくない。中国人は受け入れないホテルが実は多い。中国人団体は郊外の決まったホテルに泊められているとのこと。その方がトラブルは少ない。
カンさんは実に誠実な人。昔日本にもこんな雰囲気の人がいたな、と懐かしく思い出す。いや今の日本にもいるのかもしれないが、私が出会わないだけ。97年のアジア通貨危機後、実施的に経済が破たんした韓国では、大きな変動があった。その中で生き抜くためには努力も必要だし、根性も必要だったであろう。とにかく誠実に、そして言葉ではなく行動をとる姿勢、日本に必要なことだろう。
韓国から日本を見る
夜は北京時代にお会いし、その後も交流を続けている出版社のK社長と会った。Kさんは日本人だが、20年以上韓国をベースに活動しており、東京に会社がある。4か国語で本を出版する、というユニークな企画を実行したり、最近はスマホアプリなどで成功しているという。そろそろ完全に韓国に拠点を移すとのことで、韓国にも会社を立ち上げた。凄い。
カヤホテルを紹介してくれたのもKさん。この辺は便利が良い。近くの韓国食堂で夕食をご馳走になる。韓国と言えば日本と並んですぐに酒だが、2人とも飲まないので、もっぱら食べて話す。韓国の経済も心配だが、竹島問題も含めた日韓関係も困ったものだ。そして更には日本そのものが大きな問題。
外から日本を見るととても危うく見える。他国のことをとやかく言っている場合ではない筈だが、政府も政治家も、そして見えない力も、国民の注意を外へ向け、国内の矛盾から目を逸らさせている。これは危険な兆候だ。中国も日本も政府のやっていることはあまり変わらない。
食後、コーヒーショップでコーヒーを飲む。この雰囲気は日本と何ら変わらない。日本と韓国が何かで争うことなど、世界的に見えればとても小さなことだし、あまり意味のないこと。現在の若者は日本も韓国もほぼ同じ行動をとっており、コーヒーを飲みながらスマホをいじる、昔と異なり十分理解し合えるはずだ。