みんなで作ろう!「ベトナム旅行便利帳」

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 【[ベトナム・ミステリーゾーン]

第3回:40年間、使われることなく眠り続ける~給水塔
2009年05月16日
 

 高さ約30mという巨大な鉄筋コンクリート製の建造物。

 これは、貯水および水圧強化を目的として作られた給水塔。日本の水道局に相当するサイゴン水道総公社(サワコ)の敷地内にある。

 給水塔は、ベトナム戦争が終結した1975年以前に作られた。ホーチミン市内には、大小合わせて100基以上あるが、実は数十年前から、まったく使われていない。

 というのも、各家庭が、自分で屋上に貯水タンクを備え付けるようになったものだから、給水塔は必要なくなってしまったのである。

 中には、完成直後に水漏れが発覚して、40年余、一度も使われたことがない給水塔もあるという。

 ホーチミン市当局は、2009年4月、サワコに対し「今後、どうするつもりなのか、検討して報告すべし」という勧告を行ったそうだ。しかし「取り壊そう」「いや、補修すれば使える」と議論百出。市内各所に残された給水塔たちの帰趨は、当分定まりそうにない。

【アクセス】
サワコ(SAWACO)はホーチミン市中心部にあるHo Con Ruaという名前のロータリーにある。聖母マリア大聖堂から徒歩約5分。部外者は敷地内へは入れないが、外からでも給水塔は見える。大型給水塔は、バータンハイ通り(10区)、ホーヴァンフエ通り(フーニュアン区)などにもある。

 【[ベトナム・ミステリーゾーン]

第2回:全長250キロの地下要塞~クチのトンネル
2009年04月18日
 

 総延長250キロ、地下3階、ベトナム戦争時には1万6000人のゲリラが生活していたというクチのトンネル。現在は観光用に拡張・整備され、多くの旅行者が訪れる。

「以前に、このトンネルの中で迷子になったアメリカ人観光客がいたんですよ」

 とトンネルガイドのコア君がいう。その男性は、数日後、救出されたそうだが、そのときは意識が混濁しており、詳しい事情は分からずじまいだったという。

 観光で体験できるのは、最長でも150メートルと、トンネルのごくごく一部に過ぎない。それでも中腰にもなれないほどの狭さ、息苦しさ、そして蒸し暑さに、途中で逃げ出したくなるほどだ。正常な意識を失ったとしても不思議ではない。

 ふと思いついて、彼自身、トンネルの中で生まれたというコア君に尋ねてみた。

「中で迷子になって、そのまま見つからずに死んでしまった人も、もしかしているんじゃ…?」

「そんなことのないように、確認はしていますけどね…」
 そう口を濁した彼の口元には、ニヒルな笑いが浮かんでいた。

【アクセス】
ホーチミン市中心部から車で約1時間半。半日~1日のツアーが催行されている。

 【[ベトナム・ミステリーゾーン]

第1回:庶民の夢の形~ペンシルハウス
2009年03月21日
 

 だだっ広い野原の中に、忽然と細長い家が建つ。人呼んで「ペンシルハウス」。間口は約4メートルしかないのに、奥行きは10メートル以上という、まさにうなぎの寝床。それなのに、高さだけは一人前で、4階建てプラス屋上。中はハンで押したように同じ間取りで、中央の階段をはさんで、手前と奥に部屋が一つずつ配置されている。

 ベトナム最大の都市・ホーチミン市にあって、計画的に都市開発が進められているナムサイゴン地区では、こういうペンシルハウスが林立する奇観を見ることができる。

 かつては、政府主導で建てられた集合住宅が庶民の住まいだった。しかし90年代、ドイモイと呼ばれる開放政策が広まり、庶民は、自分の土地を手に入れることが可能になる。しかし地価は高騰。特に道路に面した間口が広ければ広いほど土地は高い。そこで編み出された苦肉の策が、このペンシルハウスだった。

 最初はバラバラに建っているペンシルハウスの隙間が全部埋まるとき、そこには新しい町が生まれる。

【アクセス】
Binh Chanh(ビンチャン)区Nguyen Van Linh(グエンヴァンリン)通り沿いに見ることができる。ドンコイ通りから車で20分。

 【[ベトナム・ミステリーゾーン]

このブログについて:ベトナム・ミステリーゾーンへようこそ
2009年03月21日
 

 どの国にもある「ミステリーゾーン」。幽霊が出るというトンネル、建築が途中で止まってしまい、再開するたびに事故が起きるビル、はたまた、何のためにあるのか分からない階段など。

 このブログでは、ベトナムにある、そんな奇妙なもの・怖いもの・不思議なものを毎月1箇所、紹介していきます。

写真・原稿:朋野昭

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