今日はオンタオの日です。オンタオ=Ong Taoとは、台所の神様のこと。
日本語では「台所の神様の日」、または「竈神(かまどがみ)の日」とも訳されます。
オンタオの日については、以前にもこの「サイゴン便り」で書きましたので、そこから引用して説明しますと…。
オンタオの日は毎年、旧暦の12月23日。この日に、オンタオが鯉に乗って神様のところに戻り、この1年間の出来事を報告するのだと言われています。新年を迎える1週間前にあたり、この日が来ると、いよいよテト(ベトナムの正月)が間近だと感じられる、大きな節目の日の1つ。
サイゴンの我が家のある路地でも、家の祭壇に食べ物を供え、線香を焚き、紙で出来た服や帽子などを燃やして、台所の神様を天に送り出す儀式を行っている様子を見られました。神様の乗り物として生きた鯉を用意することもあり、祈りを捧げた後、鯉は川や池に戻すことになっています。
かつては、台所の神様の日にかまどを掃除し、この日以降、テトが明けるまで炊事はしなかったそうです。つまりこの日までに、正月用の保存食料を用意しておかねばならなかったわけです。天界に行ったオンタオは、大晦日、天界にいる先祖達が、子孫達とテトを祝うためこの世に戻って来るとき、一緒に地上に戻ってくるのだそうです。
オンタオの日の由来としては次のようなお話が伝わっています。以下、『ベトナムスケッチ』(2005年11月号)に載ったものを、そのまま転載します。
<以下、引用>
猟師と再婚した女の家に物乞いの男がやって来た。それは女の元夫。食事の世話などをするうち、夫が帰宅。妻は元夫をかまどの中に隠し藁でおおった。しかし、何も知らない猟師の夫は、かまどに火をつけた。
かまどの中の元夫は、「ここで声を上げれば、彼女に迷惑がかかる。」と、熱さと痛みに耐え、そのまま死んでしまった。一方妻は、「あの人は、私のために耐えている。どんなに苦しいことだろう」と、自分も燃えさかる炎の中に飛び込んでしまった。残された猟師は、「妻が自殺したのは、気づかぬうちに辛い思いをさせていたからだ」と嘆き、妻の後を追ったのだった。
当時のベトナム皇帝は、この話を聞いて感動し、3人を「かまどの神」とした。以来、かまどの神は、台所と家庭の平和を守る神として、各家庭の御勝手に祭られるようになったそうな。
(出典:http://www.vietnam-sketch.com/special/monthly/2005/11/001.html)
<引用、以上>
この日を過ぎると、もう街中が浮き足立っている感じで、まともに仕事になりません。ミーティングを入れようとしても「テトが終わったら、また連絡を下さい」という答が返って来てしまいます。
目抜き通りであるドンコイ通りやレユアン通りは、しばらく前からイルミネーションで華やかに飾られ、また市民劇場の前では、おそらく大晦日に行われるショーのための特設舞台の設置が始まっていました。グエンフエ通りでは、毎年恒例の花祭りのために、中央の車線が通行止めになっています。
ただ日本との仕事がほとんどである私の場合、テトは休めないことのほうが多いです。昨年は、テト明けすぐに取材が入っていた雑誌『クレア』の準備に追われていました。今年は今年で、現在、進行中の雑誌の特集の締め切り日が2月7日。まさに元日なのです。デザインが決まれば、すぐにでも原稿を書き始める予定ですが、デザイナーさんからデザインが上がってくるのは、まだ少し先のことになりそう。
ところで、昨日「ぎっくり腰」のことを書いたところ、経験者の方からのアドバイスを含め、たくさんのメールを頂きました。ご心配をおかけしてすいません。そして、どうもありがとうございます。お陰様で、今は鎮痛剤を飲まなくても、痛みが出ることもなく、今日からは通常通り仕事に
復帰しています。はい、もちろん、無理はしないように心掛けます。