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2011.05.06

 旅行記(台湾)

台湾茶の歴史を訪ねる旅(5) 幽玄なお茶屋さん

5. 幽玄なお茶屋さん
あまりの驚きに体勢を立て直すために一度ゲストハウスに引き上げる。MRTに乗ると、なぜかお腹がグルグルなる。余程驚いたのだろうか。トイレを探すと駅の外側だった。日本にはないパターン。駅員さんは非常に親切にドアを開けてくれた。何だか子供の頃に、こんなことがあったな、と思い出す。台湾はいつも懐かしい雰囲気を持っている。


夕方連絡があり、約束の場所に台湾人Jさんを訪ねた。これもBさん同様人のご紹介であり、初対面であった。コーヒーショップの前で待ち合わせたが、そこには入らず、少し歩く。どこへ行くのだろうか。何と到着したところは駐車場。台北も街中に駐車はかなり難しい。初めて会う人間と車で会うのは避けなければならない。

これからお茶屋さんに連れて行ってくれるという。車の中でJさんの話を聞く。日本在住10年で日本人のように日本語を話す。かなりの人脈を持っていそうで楽しみ。そして話が盛り上がった頃、ある民家の前で車が止まった。階段を5階まで上がる。こんな所にお茶屋さんがあるのか。


中に入ると普通の家。日本語で「こんばんは」と笑顔で女性に言われる。奥に畳が敷かれており、そこに年齢不詳のYさんがさらりと座っていた。早速お茶を頂く。昔の包種茶は現在の物とはかなり違うのか、と質問するとYさんはおもむろに「じゃあ、昔の包種茶、飲んでみる」と言いながら、お茶を淹れてくれる。




飲めば分かる。確かに現在緑茶に近い包種茶とは異なり、発酵度が高く、香りは立たないが、味わいはある。何だか不思議な気分になる。数十年前の包種茶をマンションの一部屋で飲んでいる。思わず畳に寝転がりたくなる。この家には他に貴重なお茶が沢山所蔵されているようだ。


夕食として餃子とスープをご馳走になった。このシンプルな食事が実にこの場に合っていた。食後に部屋から屋上に出た。そこにはYさんの思いが込められていた。様々な植物が置かれていたのだ。「自分の家が一番リラックスできる空間。緑がない場所ではリラックスは出来ない。当たり前だよね。」若く見えたYさんが一瞬仙人のように見えた。