お知らせ

>>お知らせ一覧

Myカテゴリ
コラム (88)
ブログ(タイ) (74)
ブログ(香港) (43)
プロフィール (1)
寺子屋チャイナ(ビジネス) (9)
寺子屋チャイナ(学生) (6)
旅行記(アジア) (293)
旅行記(インド) (138)
旅行記(スリランカ) (39)
旅行記(トルコ) (41)
旅行記(ベトナム) (61)
旅行記(中国) (189)
旅行記(台湾) (43)
旅行記(日本) (48)
茶話会 (9)
読書感想文 (2)
講演会 (21)

2011.06.16

 旅行記(台湾)

台湾茶の歴史を訪ねる旅(22) 猫空の夜

22.猫空の夜
豆腐を満喫した後、Hさんが「夜のお散歩でもしますか」、と聞く。もうなすがままである。夜8時台、車で猫空へ上がる。猫空とはなかなか奇妙な名前であるが、観光茶園がいくつもある台北市の寛ぎスペースである。景色を売り物にしているが、4月とはいえ、今日は結構冷える。ミニバスが通るが、客は殆ど乗っていない。ロープウェーも開通しており、寒空の中を動いている。


Hさん行きつけの店へ行く。「六季香茶坊」(http://www.taipeinavi.com/food/254/)と書かれた看板の所を上がる。上は前面が露店になっており、奥に建屋がある。人は誰もいない。Hさんが奥の方に入っていき、声を掛けるが、返事がない。こんな時間にお客が来るとは想定外であろう。


ようやく横の建物から返事がある。どうやら茶作りの最中であるらしい。ご主人が出て来た。張さん、独特の雰囲気を持つ人物である。露天の一番前、景色の良い所に陣取る。Hさんは半袖シャツ1枚でかなり寒そう。張さんも上に羽織るものを出して着ている。

ここからの眺めはかなり良い。台北市が一望できる。張さんがお茶を淹れようとしたその瞬間、市内で大音響の花火が上がった。一体どうしたんだ?考えてみれば本日は台湾花の博覧会最終日、そのイベントの一環で花火が登場したのだろう。偶然とはいえ、不思議な気分となる。

張さんは作ったばかりの木柵鉄観音を淹れてくれた。中国の鉄観音はどんどん緑茶化して軽くなっており、香りがあればよい、といった印象が拭えないが、こちらは実に濃厚な味。私の好きなタイプであり、恐らくは本来の鉄観音の味を残しているのであろう。


次に冷凍茶が出される。これは鉄観音の茶葉を冷凍して保存。名前だけ聞くとアイスティーかと思ってしまうが、実は室内萎凋と言う工程の後、茶葉を加熱殺菌し、仕上げの乾燥火入れをしないので、ビタミンが凝縮されていると言う。


茶葉は緑であるが、味は木柵鉄観音。なかなか面白い。こんな所にも木柵の茶農家の探究心が感じられる。当然この辺りの茶農家も歴史が古く、1870年代以降茶作りが始まっている。しかし張さん達にとっては、歴史より今日、今日より明日、といった感じで、今晩も茶作りで徹夜らしい。いい鉄観音を作って欲しい。


夜も更けて来て、茶作りの邪魔にもなると言うことで退散した。次回は茶葉料理でも食べながら、ゆっくりと話を聞いてみたい。