台湾農林を訪ねたが、情報を得ることは出来なかった。前回の旅でもう一つのヒントがあった。それは大来閣と言うホテルの陳さんと言う方が、新井さんの親族を最近案内していたと言う情報だった。この話をしてくれた天福茶荘の童さんを再び訪ねる。
童さんはお父さんの同窓生、相変わらずにこやかに迎えてくれた。高山茶から紅茶まで色々なお茶を飲ませてくれた。そして「お茶を買ってくれる必要はないんです。この場所から見る日月潭の眺めは最高なんです。日本人にも是非来て欲しい。無料で台湾の良い所を見て行ってほしい。」と言う。見ると外はスコール。激しい雨が降る中、我々はかなり長居した。
しかし肝心の陳さんは今日から3日間休暇とのことで、結局今回も会えずじまいに終わる。陳さんは日本語も堪能で熱心な方のようで、是非会ってみたかったのだが。どうやら台湾財界の重鎮、許文龍氏に新井さんのことを伝えたのも、陳さんらしい。
お父さんがもう一つ連れて行ってくれたのが、少し林の中に入り込んだところにある、森林紅茶。ここのオーナー葉さんも前回訪問した和果森林の石さん同様、日本時代の紅茶樹を守り、紅茶作りに専念している人だ。
ちょうど雨も上がり、製茶工場を訪ねると先客があり、2階に人がいた。何とエレベーターで2階に上がる。そこに製茶機が並んでおり、作業場になっていた。先客の2人はちょっと変わった服装をしている。聞けば大陸で修行した道教の導師という。お父さんとお母さんは痛く興味を持ち、帰りに民宿に連れ帰って話を聞いていた。
葉さんははじめ少し取っ付きにくい人かと思ったが、色々と話をしてくれた。ここ10年、紅茶の復興に尽力、自らも世界紅茶大会で入賞するまでになっている。基本的に夫婦二人で行っており、今後どうするのか、ちょっと心配ではあった。
日本時代のことについては、あまり記憶はないようだ。その昔日本人がやってきて、蓮華池という所に最初に紅茶を植えたことは聞いていたが詳しいことは分からないとのこと。雨も完全に上がったので退散する。それにしても森林の中で紅茶を飲む、涼やかな気分になった。