「週末、会社の入り口の鍵を付け替えましたので」
そういって、今朝、会社の総務の女性から鍵の束を渡された。
「また、鍵ですかあ」
「そうですよ。今から説明しますから、ちゃんと覚えておいてくださいね。これが入り口のドアの鍵で、これが外側につけている南京錠の鍵。それから、これは外扉のシャッターの鍵で…」
この国で生活する上で驚くのは、とにかく鍵をたくさん持たなければならないこと。小生が赴任してきたときも、鍵の束を渡されて「いったい、どうしてこんなに」と驚いたものである。
写真は、私が持ち歩いている鍵の束。数えてみると28本あった。これは別に小生が特別だというわけではない。他の外国人も現地のベトナム人も、ジャラジャラと鍵の束を持ち歩いているのが普通なのだ。
どうしてこういうことになるのかというと、やはり日本に比べると治安が良くないから。
まず会社の鍵の束を見てみよう。入り口は2重になっており、外側は終業時にのみ閉める蛇腹式になった鉄の扉、内側には普段開け閉めするガラスの扉。それぞれに鍵があり、さらにこれに南京錠をかける。これで4つ。社内には幾つかの部屋があり、会議室、事務所など、それぞれに鍵がある。さらに自分の机の引き出しの鍵、本棚の鍵、トイレの鍵、ベランダに出る扉の鍵…。
会社だけではない。私が住んでいるアパートでも同様。まず建物の入り口を開けるのに鍵が4つ。自分の部屋に入るのに鍵が2つ。外出中に大家さんの使用人が部屋掃除に来てくれるので、重要なものは棚にしまい、扉には鍵をかけておく。ここでも鍵。使用人といっても大家さんの親戚らしいし、盗まれる心配はしていないが、万が一、何かがなくなったときに、お互いに不信感を持たないためという意味合いのほうが強い。
そんなこんなで、小生が常時、持ち歩いている鍵の数は28本。
どれも必要があって持っているはずなのだが、今、鍵の本数を数えていて、どこの鍵か分からないものが出てきてしまった…。「分からないんだからいらない、」ともいえるが、捨ててしまって、あとでどこかの引き出しが開かない、なんてことになっても困るし。どうしたもんだか。
そういうわけで、今週の「街角笑ケース」殿堂入りは「28本の鍵の束」で。お後がよろしいようで…。