みんなで作ろう!「ベトナム旅行便利帳」

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 【[週末小旅行のススメ]

ヴンタウ編:1時間半で行ける、お気楽ビーチパラダイス・その2
2009年06月16日
 
足が確保できたら次は宿である。昔から、ホーチミン市民の気軽な週末の行楽地として愛されてきただけあって、高級ホテルこそ少ないものの、中級以下のホテルの選択肢には困らない。

 まずロケーションとしては、フロントビーチ側、バックビーチ側、どちらを選ぶかという選択肢が一般的だろう。ビーチライフを中心に考えるならバックビーチだ。

 市街地にあるのがフロントビーチだが、このビーチで泳ぐことは考えないほうがいい。砂浜は猫の額ほど。漁船が停泊していて、とても泳ぐ雰囲気ではない。フロントビーチからバックビーチは車で10分くらいと近いので、食事や買い物の利便性を重視するなら、フロントビーチ側に宿を取り、ビーチ遊びをするときは、タクシーでバックビーチへいく、というスタイルになるだろう。

 私は、とにかくビーチとホテルでのんびりするのが目的なので、今回は迷わずバックビーチ側のホテルをあたることにした。選んだのは、バックビーチの北の端近くにある老舗の4つ星ホテル・キャプサンジャック。
●キャプサンジャック
http://www.hotelcapsaintjacques.com/

 ちなみにキャプサンジャックとは、ブンタウ市の旧名。フランス統治下の時代には、この名前だった。

 ホテルを探すには、いくつかの方法があると思う。大体、以下の4つだろうか。
1.直接、現地でホテルを探す
2.各ホテルのウェブサイトを探して、そこで予約する
3.旅行代理店で探す
4.ホテルブッキングサイトで探す

 値段的にいちばん高くなるのは、1である。「業者を通さず、直接、やり取りするんだから、いちばん安くなるに違いない」と考える人もいるようだが、実際には違う。ホテルは業者には、安く部屋を卸すので、たとえ業者の手数料が上乗せされても、個人で交渉するよりは、ほぼ確実に安くなる。

 ただしこれは、中級以上のホテルに関して言えることで、1泊10ドル程度のホテルの場合は、業者は扱っていないし、直接ホテルと交渉することになる。
 
 最近、増えているのがホテルのウェブサイト経由で申し込む方法。ホテル側が「インターネット申し込みの特別レート」というのを設定していて、定価よりもかなり安く泊まることができる。自分の泊まりたいホテルが、明確に決まっている場合は、この選択肢もあるだろう。

 ただ、それでも値段は、業者を通したほうが安い場合が多い。つまり値段的にいちばんお得なのは、3か4ということになる。いろんなホテルを見比べながら選ぶこともできるので便利だ。

 会社員なので、昼間、旅行代理店に行っている時間はない。そこで私がもっぱら活用しているのは、4のホテルブッキングサイトである。

 国外旅行をする場合は、アジアトラベル、アジアルームズ、アジアホテルズなどのサイトを愛用しているが、ヴンタウのように国外では知られてないマイナーな観光地だと、これらの規模の大きいサイトでは取り扱っていない場合が多い。

 そういう場合、やはり頼りになるのは、ベトナム国内にあるベトナム専門のホテルブッキングサイトだ。比較的小さな町までカバーしているし、ヴンタウクラスの町でも、10軒近いホテルを扱っているサイトもあり、「さすがベトナム専業」といいたくなる。

 似たような名前のサイトが数多くあって、どれがいいのか迷ってしまうが、今回私が利用したのは、以下のサイト。
●Hotels in VIetnam
http://www.hotels-in-vietnam.com/

 私が予約したキャプサンジャックは、定価だと、いちばん下のスタンダードクラスが60ドル。ホテルのインターネット特別価格ならこれが45ドルになる。しかし、ホテルズインヴェトナムだと、これが37ドルと、8ドルもお得なのだ。8ドルというと14万ドン少々だから、ハイドロフォイル片道分の運賃に近い金額。節約しない手はない。

 申し込み方法も簡単。ウェブ上にあるフォームに必要事項を記入したら、24~48時間以内に、確認メールが来る。希望の部屋がいっぱいのときは、それ以外の選択肢も提案してくれる。このメールに「承諾」の返事をすれば、それで予約は完了。

 ただし支払いにはクレジットカードが必要。申し込み時に、クレジットカード情報を記入し、宿泊代は自動的に引き落とされる。

 私はいちばん安くスタンダードクラスを予約した。週末なので10ドル加算されて47ドル。週末料金は、ホテルに直接申し込んでも、旅行代理店を通しても発生する。これに往復の船代が約18ドル。現地でシーフードをたらふく食べても、「1泊2日で1万円以内」という予算内に収まりそうだ。

 ホテルは木曜日の朝にウェブ経由で予約を入れ、金曜日には確認のメールが来た。後は週末休めるように、仕事を片付けるのみ。これがいちばん難しいのだが…。 

 【[ベトナム街角笑ケース]

第14話:チケットがなくても入場できる!?
2009年06月15日
 
先週、所用があってハノイに出張した。仕事は無事に終わって、「さあ夕食後は、ホテルに戻って仕事かな」と思っていると、取引先のAさんが、
「今晩、これからオペラハウスへ、ベトナム国立交響楽団の演奏会を聞きに行くんですよ」
 という。

 実は小生、クラシック音楽の大ファンである。ベトナム国立交響楽団(VNSO)は、その名の通り、ベトナムを代表するオーケストラ。今晩は日本人指揮者の本名徹次氏の指揮で、ベトナムを代表する人気女性歌手であるミー・リンと協演するという。ホーチミン市にもオーケストラはあるが、VNSOに比べると格段に落ちる。たまっている仕事は気になるが、できるものなら、久々にレベルの高い生のオーケストラを聴いてみたい。

 ところが、このコンサート前評判が高く、チケットはとっくの昔に完売とのこと。チケットを持っているAさんとオペラハウスに行き、会場の前に出ていたダフ屋と話をしたところ、定価が25万ドンのところ、90万ドン(約5000円)だという。これでは高くて手が出ない。諦めてホテルに戻って仕事をしようかと考えていると、オレンジ色のポロシャツにチノパンという中年の ベトナム人男性が声をかけて来た。

「キミは、演奏会を聴かないのか?」
「聴きたいんだけどね、チケットがなくて」
「…そうか。じゃあ、オレが入れてやるから、ついて来なさい」
 
 半信半疑のまま一緒に入り口に行く。彼は、私を指差しながら、チケットのもぎりをしているアオザイ女性に二言三言、声をかけると、私を手招きした。
「話はつけたから。じゃあ、演奏会を楽しんでくれたまえ」
 彼に背中を押されるようにして入り口に向かうと、先ほど彼が話をしていたスタッフが、にっこり笑顔で通してくれた。ど、どうしてなんだ?

 しかし会場は全席指定席。入場できても、チケットがなければ会場の中に入ることはできない。エントランスホールで思案していると、先ほどの彼が現れ、「で、これがキミのチケットだから」と手渡すや、私がお礼をいう暇もないほど、あっという間に去っていった。

 私のチケットはF列の5番。前から6列目、中央やや左手の特等席である。「これを入手するのには、苦労したんですよ」というAさんより良い席だ。かくして、私は幸運にも、素晴らしい音楽に浸る一夜を過ごすことができたのだった。彼が何者だったのか、どうして、こんな特等席のチケットがあったのか、いまだに謎である。

 ベトナムでは、日本では当たり前のことがうまく行かず、困ってしまうこともあれば、今回のように、思いもよらない幸運が降って来ることもある。

 そういうわけで、今週の笑ケースは、ちょっと趣旨は異なるが、笑えるエピソードを紹介させて頂いた。写真は、演奏中に撮影したものである。中央がミー・リンで、右端が指揮者の本名徹次氏。お後がよろしいようで…。

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 【[今日もカフェ日和]

014:安い・美味い・早いと3拍子揃う~無名の路上カフェ
2009年06月15日
 

 今日の朝ごはんは、路上の屋台兼カフェで、バンミー(ベトナム風バゲットサンド)とカフェダー(アイスコーヒー)。ベトナムにはこういう無名の路上カフェが、それこそ無数にあります。

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 小さな屋台ですが、バゲットサンドはパテ入り、ハム入り、卵入りと幾つか種類があって、選ぶことができます。中でも卵サンドが美味しくて、ここの屋台は私のお気に入りの一つです。

 注文すると、お店の女主人が、卵を2つ使ったスクランブルドエッグを目の前で作り、それをバゲットにはさみます。ニンジン、キュウリ、ダイコンの細切りを載せて、最後に醤油と胡椒を振りかけて出来上がり。サクサクしたバゲットと、ホカホカの卵焼きのコンビネーションが気に入っています。

 その間、わずか数分。それはそれは手際がよく、次々とやって来るお客さんを待たせることがありません。また、朝は5時くらいから夜は9時ごろまで開けているそうで、とても便利な存在です。

 町の中心部にあるので、値段は、卵サンドが1万ドン、アイスコーヒーが5000ドンと割高ですが、それでも合計80円ほど。最近、当地でも増えているKFCやロッテリアのハンバーガー1個分よりも安くて、個人的な好みでいえば、それらより美味しいのですから、文句はありません。

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 屋台の横には、小さな机もあって、そこで食べることもできますが、基本は持ち帰りのようです。その場合、コーヒーは、こぼれないように、密封性の高いプラスティックの容器に入れてくれます。今日は、屋台の横の席で朝ごはんを食べながら、この「カフェ日和」を書くつもりだったのですが、いつも持ち帰りをしているせいか、自動的に密封容器に入ったコーヒーが出てきました。

 ところで、こういう路上カフェでコーヒーを頼むと、たいてい、お茶の入った急須が一緒に出てきます。写真の右側に写っているのがそれ。これはどうするかというと、コーヒーを飲んだ後、このお茶をグラスに入れて飲むのです。

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 最初は「コーヒー味のするお茶なんて」と抵抗があったのですが、これが意外といけます。コーヒーの苦味をお茶がとってくれ、後味がさっぱりするのです。

 お茶を飲んで口直しもできたし、そろそろ仕事に行きます。それでは皆さんも良い一日をお過ごしください。

<データ>
店名なし
住所:Le Duan(レユアン)通りとMac Dinh Chi(マックディンチー)通りの角。アメリカ領事館の脇(市民劇場から徒歩15分)
電話:なし
営業時間:05:00頃~21:00頃(無休)
メニューなし/ベトナム語のみ/持ち帰り可

 【[週末小旅行のススメ]

ヴンタウ編:1時間半で行ける、お気楽ビーチパラダイス・その1
2009年06月09日
 
ホーチミン市から週末、気軽に行ける旅行先としては、ヴンタウがいちばんだろう。ホーチミン市から南東約130キロのところにある海岸の町である。東京にとっての熱海、大阪にとっての白浜のような感じ、といったらよいだろうか。

 ヴンタウと並んでムイネーというビーチリゾートも人気だが、ムイネーがバスで4時間ほどかかるのに対し、ヴンタウへはハイドロフォイルと呼ばれる高速船を使えば1時間半ほど。日帰りでも行ける気軽さなのだ。実際、ホーチミン市の旅行会社では、日帰りバスツアーを催行している会社もある。

 そういうわけで、ふと思い立って、今度の週末はヴンタウに行ってみることにした。日本の友人が持って来てくれた長編小説があるので、海を眺めながらゆっくり読書を楽しみ、新鮮なシーフードに舌鼓を打とう、という算段である。

 ヴンタウに行くには、前述した通り、ハイドロフォイルを利用するのが便利だ。もちろんローカルバスも出ている。運賃は300円前後と安いが、所要時間は3 時間。一方船は、大人16万ドン(約900円)、子供8万ドン(約450円)と割高だが、所要時間はバスの半分の約1時間半。しかも1日に15便以上と頻発しているので、いつでも気軽に乗ることができる。これだけ船が便利なので、さすがのシンカフェも、ヴンタウ行きのバスを出していないのだろう。

 ハイドロフォイルは以下の3つの会社が運航している。
●ヴィナエキスプレス Vina Express
●グリーンラインズ Green Lines
●ペトロエキスプレス Petro Express

 出航時刻は以下の通り。これは発着場に書いてあった時刻表を写してきたもの。ホーチミン発もヴンタウ発も、3社とも同時刻に出航する。突然の運休や遅延はあるものの、ここ何年も、基本的にほぼ同じスケジュールで運航されている。
06:00(ヴィナエキスプレス)
07:00(グリーンラインズ)
08:00(ペトロエキスプレス)
08:30(ヴィナエキスプレス)
09:00(グリーンラインズ)
10:00(ペトロエキスプレス)
10:30(ヴィナエキスプレス)
12:00(グリーンラインズ)
12:30(ヴィナエキスプレス)
14:00(ペトロエキスプレス)
14:30(ヴィナエキスプレス)
15:00(グリーンラインズ)
16:00(ペトロエキスプレス)
16:30(ヴィナエキスプレス)
17:00(グリーンラインズ)

 ただし、土日および祝日には、以下の便が増発される場合がある。
11:00/1130/1530/1545/1635/1645/1650
(運航スケジュールは、いずれも2009年5月17日現在の情報)

 料金は3社とも同じ。同じ船着場を出て、同じ船着場に着く。サービス
内容なども大差はないらしい。それなのに、どうして3社で運航しているのか。理由は分からないが、何か事情があるのだろう。

 それはさておき、ヴンタウに滞在できる時間をなるべく長くするには、
・ヴィナエクスプレス:往路6時ホーチミン発、復路16時半ヴンタウ発
・グリーンラインズ:往路7時ホーチミン発、復路17時ヴンタウ発
 このどちらかの選択肢になる。前回は確かグリーンラインズだったので、今回はヴィナエクスプレスを利用することにした。

 船が出るのは、マジェスティックホテル近くの船着場から。 予約は電話でもできるそうだが、私はいつも船着場に行って直接、申し込んでいる。そこでお金も払って、そこで切符まで受け取ったほうが、安心できるのだ。今回も、前日、金曜日の朝、出勤前に船着場に行って購入した。

 【[今日もカフェ日和]

013:ベトナム国産コーヒーを味わうなら~チュングエン
2009年06月08日
 

 ベトナムが、ブラジルに次ぐ世界第2のコーヒー大国であることは、私がここで書くまでもなく、ご存知のかたが多いと思います。そんなベトナムコーヒーの中で、知名度ナンバーワンのブランドはというと、間違いなく「チュングエン」でしょう。

 同社では、チュングエンブランドのコーヒー豆の販売とカフェチェーンの経営をしています。ホームページによると、ベトナム国内に600軒以上のカフェを出店しているだけでなく、日本を含む国外にも進出しているそうです。

●チュングエンコーヒー(日本)
http://www.trungnguyencafe.com/
●チュングエンコーヒー(ベトナム)
http://www.trung-nguyen-online.com/

 今、私がこれを書いているのも、そんなチュングエンコーヒーのうちの1軒。市内の目抜き通りの一つ、レロイ通りに面している便利なところにあります。
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 さすがにコーヒーメーカー直営の店だけあって、コーヒーにも何種類かメニューがあります。日本の喫茶店で、ブルーマウンテン、キリマンジャロ、モカ、マンデリンなど、豆を選べるのと同じですね。

 日本で飲まれているのは、アラビカ種という豆ですが、ベトナムコーヒーの主流はロブスタ種。チュングエンでは、これらを組み合わせて、クリ・ロブスタ、ロブスタ・アラビカ、プレミアム・クリ、クリ・アラビカなど、いろんな豆を味わえるようになっています。

 私も今までにいくつか試してみましたが、私の味覚が鈍感なのか、味の違いはよく分かりませんでした。たとえ、注文したのと違うコーヒーを持って来られても分からないでしょう。

 さて、それぞれの豆に関して、ホットのブラック、アイスのブラック、ホットのミルク入り、アイスのミルク入りと4つの選択肢があります。

 ここで、ベトナムならではのコーヒーの飲み方について、私の「発見」をお伝えしましょう。

 まず、ベトナムにおける「ブラック」は、日本のそれとは違うこと。ブラックでも砂糖がたっぷり入って出てくる場合が少なくないのです。
私は日本では必ずブラック。ベトナムでも迷わずブラック(ベトナム語ではカフェデン。デンは黒の意味)と頼んだところ、めちゃくちゃ甘くて驚きました。

 聞いてみると、こちらの人にとって、砂糖抜きでコーヒーを飲むというのが珍しいらしく、日本流のブラックを希望する場合、「砂糖抜きで」と言う必要があるのだそうです。在住が長い先輩によると、例え「砂糖は要らない」と言っても、砂糖の量を減らして入れてくれることもあるそうで、甘いのが苦手な人は要注意。

 ミルクコーヒーのミルクは、日本のように牛乳ではなく、コンデンスミルク。これも最初は驚きました。ただ、ベトナムの濃いコーヒーには、普通の牛乳より、濃厚な味のコンデンスミルクのほうが合っているようで、ブラック党だった私も、すぐにこれに慣れてしまいました。

 もう一つ、チュングエンのコーヒーは、私の知る限り、どこもエスプレッソ並みに濃いです。ホットの場合、私は、お湯をもらってそれで薄めています。アイスの場合は、氷が解けるのを待って少しずつ飲むながらゆっくりと頂きます。

 ホーチミン市は年中暑いので、もっぱらアイスコーヒー。のんびり氷が解けるのを待ちながらコーヒーを飲む時間は、ベトナムならではという気がします。

 これを書いている間に、私のコーヒーも、氷が溶けて飲み頃になってきました。これを飲み終わったらお仕事です。それでは皆さんも良い一日をお過ごしください。

 【[ベトナム街角笑ケース]

第13話:前半分をちょん切られた家
2009年06月08日
 

 alt=""title="" 今回の写真、「工事中の家」ではない。「道路の拡張工事のために、前半分を強引にちょん切られてしまった家」なのである。

 この家が建っているのは、グエンバンチョイ通りという、空港と市内中心部を結ぶ通り。もう2年くらい前になるだろうか、この通りの拡幅工事が行われた。当時、グエンバンチョイ通りは、朝夕になると渋滞して、小生も、空港に行く際には不便を感じていたから、道路幅が広くなるのは、朗報だった。

 そして工事開始。ここからが、いかにもベトナムという感じだった。通りの両側には民家や商店、レストランなどがある。これらを立ち退きさせるのではなく、道路の拡幅分を、強引に削り取っていったのだ。

 それまで、奥行きが10メートルあったレストランは5メートルになり、手前に居間、奥に台所という構造だった家は、かつて台所に入る扉だったものが、玄関になってしまった。工事中、通りの両側は、玄関や表の壁を取り壊され、中が丸見えになった、まるで「家の断面図」みたいな情景が連なっていた。

 このグエンバンチョイ通り沿いには、永厳寺という観光名所にもなっている名刹がある。もちろん、これも容赦なし。正門が何メートルか後退させられてしまった。浅草の雷門が移動させられるようなものである。

 工事は終了し、以前を知らない人には、通りの両側に家や店が並ぶ普通の街の情景となっているが、この家は、そんな強引な拡幅工事があったことを示す、数少ない「生き証人」なのである。

 この拡幅工事に関しては、これまたベトナムらしい裏話がある。ベトナム在住の長い私の友人が、ある政府関係者から、
「グエンバンチョイ通りは、何年か後に拡幅されることになっている。私はそれを見越して、表通りから路地を5メートルほど入ったところにある家を何軒か購入した。工事終了後には、ちょうどこれらの家が表通りに面して建つことになり、それから転売したら、ボロ儲けができる。私が持っている家のうちの一軒を買わないか」
 と持ちかけられたそうだ。

 当時、グエンバンチョイ通りの交通はスムースで、拡幅工事のことなんて、噂にもなっていなかった。しかし、上記の私の友人は、「政府関係者のいうことだから」と、かなり割高だったにも関わらず、小さな家を一軒購入。果たして、購入後間もなく拡幅計画が発表され、友人の持ち家の評価額は数倍にあがり、彼は、自分の年収数年分に相当する売却益を得たそうだ。

 件の友人の奥さんはベトナム人。家を売ってくれた政府関係者は、奥さんの知り合いだった。
「お金が儲かったのは嬉しいですけどねえ。私が何年も汗水たらして働いて得られるお金を、妻は電話一本で稼いでしまうわけですからねえ、私としては心中複雑ですよ」

 それに引き換え、バカを見たのは、表通りに面した家を持っていた人たちである。写真の家は、元から奥行きがあまりなく、拡張幅に合わせて削り取られてしまった後は、とても人が住める状態ではない。無人のまま、取り残されてしまっているようだ。

 こうして書いていると、だんだん、笑えなくなって来てしまったが、今週の笑ケースは、「前半分をちょん切られた家」で。お後がよろしいようで…。

 【[週末小旅行のススメ]

カンボジア編:「今度の週末、暇やなあ。ちょっとアンコールワットでも見てくるか」・その4
2009年06月02日
 
さて、旅行はどうだったか。結論からいうと、十分、満足できるツアーだった。

 アンコール遺跡群、これらの遺跡群の素晴らしさについては、もう私などが付け加えられるものは何もない。やはり、一度は訪れるべき価値のあるものだと思う。
 2日目の午前中にアンコール・トム遺跡、続いてタ・プローム遺跡、昼食をはさんでトンレサップ湖観光、アンコール・ワット遺跡、夕方にプノンバケン山からの日没鑑賞と5箇所を回った。夕食は、アプサラダンスショー付きのビュッフェと、盛りだくさんのプログラム。

 私個人として、意外な発見だったのがプノンペン。最終日の4日目に回った名所のうち、特に王宮、シルバー・パゴダは、豪華絢爛たる建築美を見せていて、これが内乱で荒廃した国とは思えないほどであった。
 次回は、プノンペンだけ訪れてみてもいいかと思っている。 以下は、いずれもプノンペンの写真。

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これが王宮。内部を見学することができる

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こちらがシルバーパゴダ

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ワットプノンにあったレリーフのひとつ

 ツアーに関しても、十分コストパフォーマンスが高い内容だった。シェムリアップで滞在したのは、モナークアンコールホテル(Monarch Angkor Hotel)という、プール付きのリゾートホテル。町の中心部からは少し距離があるが、それでも車で10分足らず。部屋は明るく清潔で、「何日か滞在してもいいな」と感じたほど。

●モナークアンコールホテル
http://www.monarchangkorhotel.com/(工事中、らしい)

 一方、プノンペンで宿泊したクメールロイヤルホテル(Khmer Royal Hotel)は、王宮へは徒歩圏内というロケーションで、部屋は広々。全体的に古臭く、やや落ちる感じは否めないが、それでも不満をいうほどのレベルではない。

●クメールロイヤルホテル
www.khmeroyalhotel.com/(工事中、らしい)

 特筆すべきはカンボジア人のガイドさん。文化や歴史に関する深い造詣、そして、決してハンサムではないにも関わらず、何人かの女性参加者が「恋に落ちそう」というほどの、細やかな心遣い。そして、発音に厳格なベトナム人が口を揃えて「彼が外国人だとは信じられない」と驚嘆するほど正確なベトナム語。バスの中では、座興にベトナム語の笑い話、古い詩や歌まで披露してくれた。

 シェムリアップに到着した日は、夜10時過ぎから、我々の夜遊びに付き合ってパブストリートを案内してくれた。また、2日目、女性陣が「夕食後、マッサージに行きたい」というと、お勧めのお店まで、別に車を用意して連れて行ってくれるなど、予定外のリクエストにも、いつも笑顔で適切な対応をしてくれるのだ。

 改めて「ガイドつきのツアーにして良かった」と感じた。例えバスやホテルは自分で手配したとしても、ガイドだけは現地で雇いたいと思っている。

 今回、回った3つ以外にも、素敵な遺跡がたくさんあるし、シェムリアップと、プノンペンも、その性格は全然違うが、どちらも魅力のある町だった。
 また機会があれば 「週末、ちょっとアンコール遺跡へ」行ってみたいものだと思う。

<スケジュール>
1日目
~0500 バス出発。
~0640 チャンバン到着。朝ごはんへ
~0730 バンカンの朝食後、出発
~0830 モックバイ国境到着
~1045 出国終了。パスポート受け取り
~1140 入国終了。国境出発
~1450 昼食レストランへ
~1530 昼食後、出発
~1800 男女山を経てコンポンチャムにて休憩
~2000 夕食レストランへ
~2130 夕食後、ホテルにチェックイン
~2330 パブストリートに遊びに行ってホテルに戻る

2日目
~0700 朝食後、出発
~0800 アンコールトム南大門着
~0930 アンコールトム見学終了
~1010 タプローム着
~1110 タプローム見学終了
~1200 昼食レストランへ
~1230 昼食終了。トンレサップ湖観光へ
~1530 トンレサップ観光終了、アンコールワットに出発
~1610 アンコールワット到着
~1710 アンコールワット観光終了
~1730 プノンバケン到着
~1830 プノンバケン観光終了。夕食レストランへ
~2030 アプサラショー付きビュッフェ夕食
~2200 マッサージを受けてホテルに戻る

3日目
~0700 朝食後、チェックアウト
~0820 バスが故障で停車
~1200 故障が直って出発
~1500 ドライブインで休憩
~1520 バインミーの軽食。休憩後、出発
~1650 昼食のレストランに到着
~1730 レストラン出発
~1830 セントラルマーケットとスーパーに立ち寄る
~1900 ホテルチェックイン
~2030 カジノへ
~2200 夕食後、ホテルに戻る

4日目
~0700 朝食後、チェックアウト
~1100 ワットプノン、王宮、シルバーパゴダを観光
~1200 ビュッフェの昼食
~1300 土産物屋によってプノンペンに別れを
~1600 国境着
~1710 国境発
~1915 ホーチミン着

<小遣い帳>
ツアー代金 189US$
カンボジアの携帯電話のプリペイドカード 5US$
パブストリート往復のトゥクトゥク(1時間半貸切) 2US$
アンコール遺跡群の絵葉書 1US$
飲み物とおやつ 3US$
フットマッサージ 10US$
ガイドさんへのチップ 10US$
合計 約220US$

 【[ベトナム街角笑ケース]

第12話:4人乗りしているバイク
2009年06月01日
 
 交差点で小生が信号待ちをしていたら、目の前に4人乗りしているバイクが停まった。「これは笑ケースのネタになる」と、さっそくパチリ! ちょっと写真が見にくいが、大人2人、子供2人、合計4人が1台のバイクに乗っているのが、お分かり頂けるだろうか?

 当地では3人乗りは全然珍しくない。4人乗りは、そんなに頻繁には見かけないが、それでもちょくちょくある。私が今までに見たことがある最高記録は5人乗り。おそらく両親らしい大人が2人、子供3人という構成だった。「ベトナムではバイクがファミリーカー」と言われるが、まさにそれを地でいく情景だった。

 では、いったい、ベトナムでは何人乗りまでが合法なのだろう? 会社のベトナム人スタッフに聞いてみると、基本的には2人までだそうだ。大人ばかり3人乗りしていると、交通警察に停められるという。

 大人2人に子供1人という3人乗りはよく見かけるが、これは、どうなんだろう?
「子供は1人未満という解釈で、大丈夫なんじゃないですか?」
「じゃあ、大人2人と子供2人は?」
「法律がどうなっているか分かりませんが、ケースバイケースだと思いますよ。子供2人のうちの1人が、赤ん坊だったら、警察も停めないんじゃないでしょうか?」

 なんと大らかなことだろう!

 実際、小生が今回の写真を撮っているすぐ横に警察官が立っていたが、まったくお咎めなしだった。

 1台のバイクに相乗りをするのは、もちろん、バイクが1台しかなくて仕方なく、という場合もあるが、バイクが2台あっても、「別々に走るのは寂しいから」と1台に乗る場合もあるという。特にカップルや夫婦はそうらしい。

 というわけで、今週の「街角笑ケース」殿堂入りは、ベトナムの人間関係の濃密さを象徴しているかのような「4人乗りしているバイク」でいきましょう。お後がよろしいようで…。

 【[今日もカフェ日和]

012:ベトナムでもクールジャパン?~オーサカカフェ
2009年06月01日
 
 今日、日本語教師を辞めて日本に帰る同僚を見送りにタンソンニャット空港に行く途中で「オーサカカフェ」という看板を見つけたので、帰りに立ち寄ってみました。

 確かに入り口の門には「Osaka Coffee」と書かれています。中央に山水式の庭がある、雰囲気の良いオープンカフェ。しかしながら、これのいったいどこが「大阪」なのか、分かりません。

 注文を取りにきた店員さんに尋ねてみました。
「この店のオーナーが、Osaka Do(赤大阪)という木が好きなんですよ。それにちなんで、カフェの名前も『大阪』にしたんです。ほら、ここに植わっているのが、その『赤大阪』という木ですよ」
 なるほど。

 日本で、外国語のブランド名や店名があふれているのと同様、ベトナムでも外国語を「カッコいい」とありがたがる風潮はあります。我が日本語は、なかなか健闘していて、街中で日本語を目にすることは少なくありません。

 ベトナムで人気がある日本語フリーペーパーである『ベトナムスケッチ』の2009年6月号でも、町で見かける日本語の看板の特集をしていました。例えば、こんな店があるそうです。
「スシ」(しかし日本食屋ではなくブティック)
「ハナヤ」(その名の通り生花店。ストレート過ぎ?)
「ケンゾー」(枕専門店。ブランド物の枕があるのか?)

 オーサカカフェの場合、「日本語がカッコいい」という理由で、店名にしたわけではなかったわけですが、それでも、日本語が店名に入っていると、何となく親近感が湧くものです。

「何か、大阪に関連した料理はないの?」
 と尋ねると、
「大阪チャーハンというのがあります」
 とのこと。ちょうどお昼時だったので、これを頼むことにしました。お値段は4万9000ドン。出てきたチャーハンには、もちろん、タコ焼きがついているわけでもなく、お好み焼きソースで味付けしてあるわけでもない、普通のチャーハンでした。でもピリっとした辛味が効いていて、美味しかったですよ。

<データ>
Osaka Cafe オーサカカフェ
住所:38 Cuu Long, Q. Tan Binh, TP.HCM(市民劇場から車で20分)
電話:08-38487133
営業時間:06:30~23:00(無休)
英語メニューあり/無線ランあり/トイレ○/2階席がエアコン室/コーヒー2万ドン~

 【[週末小旅行のススメ]

カンボジア編:「今度の週末、暇やなあ。ちょっとアンコールワットでも見てくるか」・その3
2009年05月26日
 
そんなことを考えていると、ある友人からこんな情報を入手した。
「ホーチミン・シェムリアップ間を走っているマイリン社のバスは快適ですよ」
 マイリン社とは、ベトナムで急成長しているタクシー会社。そこがシンカフェのようなバス網も展開しているのだ。さっそく、ハイバーチュン通りにあるマイリン社に行ってみた。

 ルートはシンカフェと同じでプノンペン経由、所要時間も当然ほぼ同じで12時間程度。途中下車も可能だ。料金は片道18US$。シンカフェ(30万 6000ドン=約17US$)といい勝負である。シェムリアップ往復はマイリンバスを使い、その他を個別に手配すると、どれくらいまで安くできるか、計算してみた。
バス:36US$
ホテル(中級クラス):30US$×3泊
食事:約90US$
遺跡見学のための移動:15US$(トゥクトゥク1日貸切)
合計:231US$
 シンカフェよりも更に30US$ほど安くなる。

 「ホテルは、とにかく眠れたらいい」ということで、ランクをいちばん下のゲストハウスまで下げると1泊10US$。3泊4日の旅行の総予算を160US$程度に収めることができる。ただ今回は、私の計画を聞いた友人が「同行させろ」とついてくることになったので、ホテルはある程度のランクは維持する必要がある。ゲストハウス案は忘れることにした。
 
 ところが調べてみると、更にお得な方法が見つかったのである。

 格安旅行のシンカフェよりも、バスを使った個人手配旅行よりも割安なツアーとは…、ローカルの旅行代理店が催行するパックツアーである。

 トランスヴィエットトラベル(Transviet Travel)という会社のチラシをみたところ、往復バスを使ったシンカフェのパックツアーと行程はほぼ同じで、遺跡入場パス代金(20US$)と、旅行中のすべての食事代、すべてを含んで189US$なのである。

●トランスヴィエットトラベル社
http://www.transviet.com.vn/

 189US$から、遺跡入場パス(20US$)、3つ星ホテル3泊分(90US$)を差し引くと75US$しか残らない。これで4日間の貸し切りバス、4日間の食事代、専属のツアーガイド2名つけて、利益が出るんだろうか? そんなことを心配してしまうほどだ。

 これなら、すべて自分で手配した場合より、30US$近く安い。ホテルはゲストハウスに泊まるという、今回調べた中でいちばん安いプランに、25US$ほど上乗せしただけで3つ星ホテルに泊まれるのだ。

 以前にも、ベトナムのローカル旅行代理店のツアーには何度か参加したことがあり、とても楽しかった思い出がある。
「よし! これに決めた」
 さっそく、このツアーに申し込んだ。

 トランスヴィエットトラベルのツアーにしたのは、たまたま、パンフレットが手元にあったから、というだけで、実は何も理由はない。特に他社と比較することもせず、申し込んだ。その後で、さらに安い値段を出している旅行社も見つけたが、数US$の差。100US$の後半というのが、大体の相場であるようだ。
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