街中をバイクで移動中、「Manga cafe」という看板が目に留まりました。これって、もしかして「漫画喫茶」のこと? 「確かめるには入ってみるのがいちばん」と入ってみたところ、想像していたのとは違いましたが、確かに漫画喫茶でした。
入り口近くは普通のカフェ。しかし、お店の奥にはコミックが収められた横幅3メートルほどの書棚があり、その数はざっと1000冊以上。そして階段を上 がった2階は30畳ほどの大きなカーペット敷きのスペース。そこに、座布団とちゃぶ台ほどの低い机が20セットほど置かれています。
お客さんは若い人ばかりで20人ほど。午後2時というこの時間帯に漫画喫茶に来るということは、授業が早く終わった大学生でしょうか。
1階で漫画を選んで2階に持って来て、飲み物を頂きながらゆっくりコミックを読むという方式だそうです。アイスミルクコーヒー(2万ドン)を注文した後、1階に下りてコミックのラインナップを見てみました。
ベトナム語は横書きなので、日本とは逆に左(つまり日本だと裏表紙)から始まるようになっています。版型は全部日本のコミックサイズで、もちろんすべてベ トナム語。ただ国産コミックかというと、そうではないようです。と言うか、私が手に取ったものは、どれも日本のコミックばかり。
4冊、借 り出して自分の席に戻って見てみました。『DRAGON BALL』『RAIVE』は、いうまでもなく、それぞれ『ドラゴンボール』『RAVE』のこと。『TENCHI hau dau』は、どうやら奥田ひとし作の『天地無用』のようです。試しに『YAIBA』の第22巻をアマゾンで確認したところ表紙も同じでした。
「ベトナムの漫画はないの?」
と店員さんに尋ねると、「あるわよ」と出してくれたのは、片手で持てるほどの冊数。それ以外は、ほとんど日本のコミックだそうです。
ベトナムで日本のコミックが人気だというのは、以前から聞いて知っていました。その筆頭は「ドラえもん」。1992年、タイ語版から翻訳されたものが、大 手出版社であるキムドン(Kim Dong)社から出版され、発売後3ヶ月で30万部という、ベトナムでは異例中の異例と言われる大ベストセラーとなったそうです。
その時 は、いわゆる「海賊版」でしたが、1996年に出版元である小学館の版権担当者が渡越して、キムドン出版社と話し合いを持ち、著作権料を支払うことで和解 しました。なお、このお金は小学館によって「ドラえもん奨学基金」に寄付されたそうです。その後2005年までの間に「ドラえもん」は2000万部以上売 れたといわれています。
ちなみに『DORAGON BALL』と『YAIBA』はキムドン出版社、『TENCHI hau dau』がチェ出版社、『RAVE』がヴァンホアトンティン出版社が、それぞれ発行元となっていました。
それにしても、これほどまでにいろんな日本のコミックがベトナムに入り込んでいるというのは、新しい発見でした。聞いてみると、こういった日本のコミックを揃えた「漫画喫茶」は、ホーチミン市内に他にも何軒かあるそうです。
それでは皆さん、良い一日をお過ごしください。
<データ>
Manga Cafe マンガカフェ
住所:33 Vo Thi Sau, Q.1, TP.HCM
電話:08-38201454
営業時間:7:00~23:00
英語メニューあり/トイレ○/無線ランあり